誹謗中傷やプライバシー権侵害の投稿者を特定できる「発信者情報開示請求」には、裁判費用や弁護士費用がかかります。
弁護士費用については、法テラスを利用するか、または複数の弁護士を比較することで抑えられる可能性があります。
必要に応じてポータルサイトなどを活用し、合理的な費用で依頼できる弁護士を探してください。
今回は、発信者情報開示請求にかかる費用の内訳や、できる限り費用を抑えるための方法などを解説します。
誹謗中傷やプライバシー権侵害をされ、開示請求をしたい。でも費用はなるべくかけたくないな...と悩んでいませんか?
結論から言うと、弁護士に依頼せず自分で開示請求をおこなえば、弁護士費用はかかりません。
しかし、開示請求は高度で専門的なので、弁護士への相談・依頼をおすすめします。無料面談や電話相談で複数の弁護士を比較し、費用など総合的に信頼できる弁護士を選びましょう。
弁護士に相談・依頼すると、以下のようなメリットを得ることができます。
- 開示請求にかかる費用を教えてもらえる
- 無料相談で、信頼できる弁護士か判断できる
- 依頼すれば、開示請求に必要な手続きを一任できる
- 依頼すれば、より迅速な解決が見込める
ベンナビITでは、発信者情報開示請求を得意とする弁護士をあなたのお住まいの地域から探すことができます。無料相談・電話相談などに対応している弁護士も多いので、まずはお気軽にご相談ください。
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発信者情報開示請求にかかる主な費用
「発信者情報開示請求」とは、サイト管理者(=コンテンツ・プロバイダ)やインターネット接続業者(=アクセス・プロバイダ)に対して、匿名の投稿者に関する情報(=発信者情報)の開示を求める手続きです。
インターネット上において匿名で誹謗中傷やプライバシー権侵害を受けた場合、発信者情報開示請求を行えば、投稿者を特定できる可能性があります。
発信者情報開示請求にかかる主な費用は、「裁判所に納める申立て費用(裁判費用)」と「弁護士費用」です。
裁判所に納める申立て費用(裁判費用)
発信者情報開示請求をする際には、2022年10月から導入された「発信者情報開示命令」を申し立てることがスタンダードになりつつあります。
発信者情報開示命令や、関連する命令(消去禁止命令・提供命令)を申し立てる際には、申立て1件当たり1000円の収入印紙を申立書に貼付する必要があります。
(例)
1:コンテンツ・プロバイダに対する以下の申立て
- 発信者情報開示命令
- 消去禁止命令
- 提供命令
2:アクセス・プロバイダに対する以下の申立て
- 発信者情報開示命令
- 消去禁止命令
→計5000円
さらに、発信者情報開示命令などを申し立てる際には、数千円分程度の郵便切手を納付しなければなりません(実際に必要となる郵便切手の額は、裁判所によって異なります)。
上記を合計すると、発信者情報開示命令などの申立て費用は総額1万円前後です。
弁護士費用
発信者情報開示請求の手続きは複雑かつ専門的なので、弁護士に依頼するのが一般的です。
弁護士費用は依頼する弁護士によって異なるので、複数の弁護士から見積もりを取得して比較することをおすすめします。
次の項目では、発信者情報開示請求にかかる弁護士費用の目安額を紹介します。
発信者情報開示請求の弁護士費用の内訳
発信者情報開示請求に関する弁護士費用の主な内訳は、以下のとおりです。
- 相談料
- 着手金
- 報酬金
- 日当
- 実費
各弁護士費用について、「日本弁護士連合会弁護士報酬基準」(現在は廃止)を参考にした目安額を紹介します(いずれも税込)。
※発信者情報開示請求については同基準に記載がないため、筆者の私見による参考値を記載しています。
相談料
正式に依頼する前の相談料は30分5,500円程度が標準的ですが、弁護士によっては無料相談を受け付けている場合もあります。
相談料がかかるかどうかについては、法律相談を申し込む段階で弁護士にご確認ください。
着手金
着手金は、発信者情報開示請求(およびその後の損害賠償請求など)を弁護士へ正式に依頼する際に支払います。
原則として一括払いですが、経済的に困難な事情がある場合には、弁護士に相談すれば分割払いが可能となることもあります。
<発信者情報開示請求に関する着手金額の目安>
22万円~44万円
<発信者情報開示後の損害賠償請求に関する着手金額の目安>
経済的利益の額が300万円以下の場合 |
経済的利益の額の8.8% |
300万円を超え3,000万円以下の場合 |
経済的利益の額の5.5%+9万9,000円 |
3,000万円を超え3億円以下の場合 |
経済的利益の額の3.3%+75万円9,000円 |
3億円を超える場合 |
経済的利益の額の2.2%+405万9,000円 |
※請求額を経済的利益として計算
報酬金
報酬金は、弁護士による発信者情報開示請求や損害賠償請求の対応により、一定の成果が得られた場合に支払います。
<発信者情報開示請求に関する報酬金額の目安>
22万円~44万円
<発信者情報開示後の損害賠償請求に関する報酬金額の目安>
経済的利益の額が300万円以下の場合 |
経済的利益の額の17.6% |
300万円を超え3,000万円以下の場合 |
経済的利益の額の11%+19万8,000円 |
3,000万円を超え3億円以下の場合 |
経済的利益の額の6.6%+151万円8,000円 |
3億円を超える場合 |
経済的利益の額の4.4%+811万8,000円 |
※獲得額を経済的利益として計算
日当
日当は、発信者情報開示請求などの対応につき、弁護士が出張した場合に支払います。
発信者情報開示請求に関しては、裁判所における陳述聴取の期日に弁護士が出席する場合などに日当が発生します。
また、その後の損害賠償請求についても依頼する場合は、訴訟期日への出席などの際に日当が発生します。
実費
発信者情報開示請求などについて対応するに当たり、弁護士が支出した費用の実費相当額は依頼者負担です。
<発信者情報開示請求に関する実費の例>
- 郵送費
- 印刷費
- 公的書類の取得費
- 弁護士の交通費
- 発信者情報開示命令の申立費用
- 訴訟費用(訴訟対応を引き続き依頼する場合)など
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複数の投稿について発信者情報開示請求をする場合の費用
誹謗中傷やプライバシー権侵害の投稿が複数なされており、各投稿について発信者情報開示請求をする際には、単一の投稿のみが問題となる場合よりも費用が高くなることがあります。
同じ投稿者による複数投稿について開示請求をする場合
同じ投稿者が複数の問題投稿を行っていることが明らかな場合には、そのうち一つの投稿について発信者情報開示命令などを申し立てれば十分です。
この場合、単一の投稿のみが問題となるケースと比べても、費用が特に高額になることはありません。
複数の投稿者について開示請求をする場合
これに対して、異なる投稿者による複数の投稿について発信者情報開示命令の申立てを行う場合は、裁判所に対する申立ての個数が増えます。
その分、裁判所に対して納付する申立て費用が増えることになります。
また、弁護士による対応の工数が増えるため、弁護士費用についても増額となるのが一般的です。
弁護士に依頼する際には、事前に弁護士費用の総額について見積もりを提示してもらいましょう。
発信者情報開示請求の費用は、投稿者に請求できる場合あり
発信者情報開示請求にかかった費用は、投稿者を特定した後、損害賠償の一部として投稿者に請求できる可能性があります。
ただし、実際に発信者情報開示請求の費用を回収できるかどうかは、投稿者との示談交渉や訴訟などの結果次第です。
費用全額を常に回収できるとは限らない点にご注意ください。
発信者情報開示請求にかかる費用を抑える方法
発信者情報開示請求にかかる費用を抑えるためには、以下の方法が考えられます。
- 弁護士に依頼しない|ただし対応は非常に大変
- 法テラスを利用する
- 複数の弁護士を比べる
弁護士に依頼しない|ただし対応は非常に大変
弁護士に依頼せずに自分で発信者情報開示請求を行えば、弁護士費用は全くかかりません。
ただし、発信者情報開示請求の制度は高度に専門的であるため、弁護士に依頼せずに対応するのは非常に大変です。
法テラスを利用する
法テラスを通じて弁護士に依頼すれば、弁護士費用を抑えられる可能性があります。
収入と資産が一定水準以下の方に限り、法テラスの民事法律扶助を利用できます。
1つの事件につき3回まで無料法律相談を利用できるほか、弁護士費用を立て替えてもらうことも可能です。
法テラスが立て替えた弁護士費用は分割返済となりますが、法テラスを通さずに依頼する場合よりも、弁護士費用は安くなるケースが多いです。
法テラスの契約弁護士に依頼する場合は、弁護士経由で法テラスの利用を申し込むこともできます。
この場合、依頼する弁護士を自分で選べる点が大きなメリットです。
複数の弁護士を比べる
発信者情報開示請求に関する弁護士費用は、依頼する弁護士によって異なります。
同じ案件でも、弁護士によって費用が大きく異なるケースが珍しくありません。
そのため、複数の弁護士に相談して相見積もりを取得することをおすすめします。
もちろん費用の安さが最重要なわけではなく、弁護士としての能力・得意分野・性格なども考慮して、総合的に信頼できる弁護士を選ぶべきです。
その意味でも、複数の弁護士の法律相談を利用して、誰が一番信頼できるかを比較するのがよいでしょう。
合理的な費用で依頼できる弁護士を探すには「ベンナビIT」
発信者情報開示請求を弁護士に依頼したいものの、できるだけ費用は抑えたいとお考えの方は、「ベンナビIT」を通じて弁護士を探すのが便利です。
「ベンナビIT」には、ITに関する案件を得意とする弁護士が多数登録されています。相談内容や地域に応じて弁護士を検索できるため、お住まいの近くでお悩みを相談できる弁護士を探すのに役立ちます。
無料法律相談を実施している弁護士や、法テラスと契約している弁護士も、「ベンナビIT」には多数掲載されています。
無料法律相談は、「ベンナビIT」上に掲載された連絡先から、弁護士(法律事務所)に直接申し込むことが可能です。
特に発信者情報開示請求を依頼できる弁護士に心当たりがない方や、弁護士費用を少しでも抑えたいとお考えの方には、「ベンナビIT」がおすすめです。
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