侮辱罪が成立する要件と典型的なケース|時効や慰謝料の相場を解説

侮辱罪が成立する要件と典型的なケース

令和2年5月、人気テレビ番組に出演していた女性タレントがSNSにおける誹謗中傷を苦に自殺した事件で、令和3年4月までに2名の加害者が警視庁に検挙され、『侮辱罪』の容疑で書類送検されました。

事件発生した直後は連日のように報道されていたので、記憶に深く残っている方も多いでしょう。

この事件を通じて、ウェブサイトやSNSなど不特定多数の人が情報を目にする場で、他人を誹謗中傷する行為が『侮辱罪』という犯罪に該当することをはじめて知った方は少なくないはずです。

侮辱罪とはどのような犯罪で、どのような場合に成立するのか。思いがけず加害者になってしまいかねないケースの典型例と罰則、さらには、自分が被害を受けた場合にとるべき行動について、具体的に見ていきましょう。

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近年SNSや掲示板サイトの利用者が増えるにつれて、トラブルに巻き込まれるケースが増えています。

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刑法231条に定められた侮辱罪とは

『侮辱罪』とは、刑法第231条に定める犯罪であり、他人の人格を蔑視する価値判断の表示行為を処罰するものです。

刑法231条(侮辱)

事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。

【引用元】刑法|e-Gov

刑法の第34章『名誉に対する罪』に含まれる犯罪で、人の社会的な名誉を保護する目的をもっています。

侮辱罪の告訴期間と告訴時効

侮辱罪を含めて、刑法第34章に規定されている犯罪はすべて『親告罪』とされています。

親告罪とは、検察官が被疑者を起訴するにあたって被害者の告訴を要する犯罪のことです。

侮辱罪のように名誉に対する犯罪では、捜査や裁判の過程で被害者が二次被害に遭ってしまうおそれがあるため、犯人の処罰を求める強い意思があることを確認する意味で、告訴という要件を定めている旨が規定されています。

親告罪の被害者が告訴できるのは「犯人を知った日から6か月以内」までです。

6か月を経過すると告訴期間を過ぎてしまうので、被害に遭った事実があっても告訴することはできません。

ここでいう「犯人を知った日」とは、犯人の住所や氏名などの詳しい情報までを知る必要はないと解釈されているため、犯人と他の人を区別できる程度の認識があれば「犯人を知った」状態にあるといえます。

また、被害に気づくのが遅くなった場合は、検察官が起訴できるまでのタイムリミットとして『公訴時効』の存在も気になるところです。

侮辱罪の公訴時効は、犯罪行為の終了時点から1年と定められており、たとえ犯人を知った日が遅かったとしても、その時点で1年が経過していた場合には、検察官は起訴することができません。

なお「犯人を知った日」から6か月を経過していた、投稿日から3年が経過したといったケースでは、告訴期間や公訴時効が満了したと考えがちですが、SNSにおける誹謗中傷は投稿がインターネット上に掲載されている間は犯罪が継続していることになります。

犯罪が継続している以上は告訴期間・公訴時効が満了しないという点は押さえておく必要があります。

侮辱罪と名誉毀損罪の構成要件の違い

侮辱罪とよく似た犯罪が刑法第230条の『名誉毀損罪』です。

侮辱罪と名誉毀損罪の違いは、どのような場合に成立するのかの条件となる構成要件を確認すれば明確になります。

罪名 構成要件
侮辱罪 事実を摘示しないで
②公然と
人を侮辱した
名誉毀損罪 事実の摘示によって
②公然と
人の社会的評価を低下させるおそれのある行為をした

それぞれの構成要件を比較すると「公然と」という部分が共通しています。

ここでいう「公然と」とは、不特定または多数の人が知る状態です。

多くの人が集まる場での発言や多数の人が目にする貼り紙などは公然性を満たしていると考えられるでしょう。

「事実の摘示」とは、確認可能な事項を指摘することをいいます。

侮辱罪は事実の摘示を要しない一方で、名誉毀損罪は事実の摘示がないと成立しません。

さらに、侮辱罪は「人を侮辱」することで成立しますが、名誉毀損罪は「人の社会的評価を低下させるおそれのある行為」によって成立します。

どのような発言や行為が「侮辱」と「社会的評価の低下」を区別するのかの明確な基準は存在せず、社会的な常識によって判断されるでしょう。

これは侮辱?名誉毀損?ネット上の発言事例

侮辱罪と名誉毀損罪は、区別が難しい犯罪です。

なかでも、SNSやインターネット掲示板などでの誹謗中傷については、どちらの要件に該当するのか判断に迷うケースも多いでしょう。

ここでは、とくにネット上の発言に注目しながら、侮辱罪・名誉毀損罪が成立するケースを挙げていきます。

侮辱罪が成立する事例

侮辱罪は、ネット上の投稿が「事実の摘示にあたらない」うえに「侮辱すること」にあたる場合に成立します。

  • ✓●●はバカだ
  • ✓●●はブスだ
  • ✓●●は無能で役に立たない

「バカ」や「ブス」、「無能」や「役立たず」といった暴言は、いずれも一定の判断基準が存在しない抽象的なものです。

確認する基準も方法も存在しないので「事実の摘示」にあたらず、社会的評価を低下させる危険もないので「侮辱」の範囲を超えません。

名誉毀損罪が成立する事例

名誉毀損罪は「事実の摘示にあたる」うえに「社会的評価を低下させるおそれがある」投稿をした場合に成立します。

  • ✓●●は同僚の女性と不倫している
  • ✓●●は仕事でミスばかりしているので近々クビになるらしい
  • ✓●●は過去に罪を犯して刑務所に入っていた

これらの内容は、いずれも「本当か、嘘か」を確認できるものばかりです。

しかも、真偽にかかわらず、公表されてしまえば人間関係や仕事上の地位、社会における信頼度を大きく低下させるおそれがあります。

名誉毀損罪は、摘示した事実の真偽に関係なく成立する犯罪なので、真実を糾弾しているつもりでも犯罪になってしまうことがあるという点には注意すべきでしょう。

侮辱罪が成立しない事例

次のようなケースでは、侮辱罪だけでなく名誉毀損罪も成立しにくいと考えられます。

  • ✓メールやダイレクトメッセージなど、特定の相手しか目にすることができない場での誹謗中傷
  • ✓個人的な感想を述べたに過ぎない批判や批評

インターネットのメールやSNSのダイレクトメッセージ機能は、特定の相手しか閲覧できないため「公然と」という要件を満たしません。

ただし、特定の相手に向けたメールやダイレクトメッセージでも、その相手からさらに第三者に広まることが容易に予想できる場合は、『伝播(でんぱ)』の可能性があるものとして侮辱罪・名誉毀損罪が成立する可能性があります。

また、公開されたものでも、相手の行動や考え方に対する正当な批判・批評にあたる場合は誹謗中傷にあたらないため、侮辱罪や名誉毀損罪は成立しにくくなります。

どのような内容は侮辱・名誉毀損にあたり、どの程度であれば批判・批評にとどまるのかという一定の基準は存在しませんが、少なくとも相手の人格そのものを否定するような攻撃的な内容であれば罪に問われる可能性は高まると考えるべきです。

SNSで芸能人に誹謗中傷をしてしまった場合、どんな罪に問われる?

冒頭でも事例を取り上げたように、インターネット上での誹謗中傷に悩む芸能人・有名人は少なくありません。

  • ✓元タレント兼実業家の女性が、匿名掲示板で「自宅で待ち伏せをしよう」「放火のチャンス」「子どもを虐待している」などの投稿を受けた
  • ✓がん闘病中の女性タレントが、自身が開設しているブログのコメント欄で「死ね、消えろ、バカみたい」「死ねばよかったのに」などの投稿を受けた
  • ✓ベテラン男性俳優が、いわゆる「まとめサイト」において「違法薬物を使っている」「女性に対して日常的に暴力をふるっている」などの投稿を受けた

「芸能人だから」「ほかの人もやっているから」という理由だけで犯罪にならないと考えるのは危険です。

たとえ相手が芸能人や有名人でも、悪質な誹謗中傷は侮辱罪などによって処罰されます。

ただし、名誉毀損罪については、公共の利害に関する事実であり、もっぱら公益を図る目的であって、さらにその内容が真実であれば違法とはならないとされています。

マスコミが芸能人や政治家のスキャンダルを報じても違法とならないのは公益性が認められるからですが、他人の人格を蔑視するような内容であれば侮辱罪となるため、たとえ公益目的があったとしても処罰されます。

なお、芸能人や有名人に対して危害を加えるような内容であれば脅迫罪や威力業務妨害罪といった別の犯罪が成立する可能性もあります。

各芸能事務所などは所属する芸能人に関する投稿を細かくチェックしており、危害が予想されるような投稿には厳しく対処する姿勢を示しています。攻撃的な投稿は厳に慎む必要があります。

侮辱罪の刑事罰と民事上の責任と慰謝料相場

侮辱罪に問われた場合は、刑事上の責任として刑罰が下されるうえに、被害者に対する民事上の責任として投稿の削除や謝罪広告の掲載、精神的苦痛に対する慰謝料請求に応じなければなりません。

侮辱罪の刑事罰

刑法第231条では、侮辱罪について「拘留または科料」が規定されています。

  • ✓拘留……30日未満の刑事施設への収容
  • ✓科料……1万円未満の金銭徴収

拘留・科料は、懲役や罰金の程度が軽いものだと考えればわかりやすいでしょう。

ただし、拘留については、懲役のように刑務作業への従事を強いられることはありません。

いずれもわが国の法律において定められている刑罰のなかでは軽いものですが、有罪判決が下されれば前科がついてしまうことにかわりはないという点は心得ておくべきです。

民事上の責任

刑罰を受けて刑事上の責任を果たした場合でも、民事上の責任を負う義務が解消されるわけではありません。

むしろ、刑事上の責任が認められた場合は、民事上の責任も同様に負うべきと判断される可能性が高まると考えるべきです。

損害賠償(慰謝料)請求

侮辱によって被害者が精神的苦痛を負った場合は、その賠償として慰謝料の請求が認められます。

ただし、侮辱罪にあたる場合の慰謝料の相場は10万円程度だといわれており、高額請求が認められる可能性は高くないでしょう。

刑法に規定されている刑罰も非常に軽いものなので、慰謝料の相場も低額になります。

つまり、より重たい刑罰が規定されている名誉毀損罪にあたるケースでは、悪質性や権利侵害の度合いが強くなり、慰謝料額も高額になる可能性があると考えられます。

謝罪(広告)請求

侮辱にあたる行為に対して謝意をあらわす方法は、慰謝料を支払うだけに限りません。

被害者の意向次第では「真摯に謝罪してほしい」と求めることや「新聞に謝罪広告を掲載してもらいたい」と要望することも可能です。

企業に向けられた誹謗中傷・デマにおいては、謝罪を含めた訂正広告が掲載されるケースもめずらしくありません。

民事上の責任として、このような費用の負担が生じることも十分に考えられます。

侮辱罪で訴えるには?侮辱罪で刑事告訴する流れと確実に訴える方法

侮辱行為を受けて加害者を罰してもらいたいと考えるなら『刑事告訴』の手続きをとる必要があります。

侮辱罪は被害者が告訴しない限り罰することができない

侮辱罪は親告罪として規定されている犯罪なので、検察官が起訴するためには被害者からの告訴が必須です。

被害者の告訴がないまま検察官が起訴しても裁判官によって公訴が棄却されてしまうので、被害者は検察官が起訴するまでに告訴の手続きをとらなくてはなりません。

被害届では捜査義務は生じない

告訴とは、警察をはじめとした捜査機関に対して「犯人を処罰してほしい」という意思を表示する手続きです。

よく似た手続きに『被害届』がありますが、これは被害者が警察に「犯罪の被害に遭った」と申告するものであり、処罰の意思は含まれていません。

告訴を受理した警察には、刑事訴訟法第242条の規定によって「速やかにこれに関する書類および証拠物を検察官に送付しなければならない」という義務が課せられます。

一方で、被害届の場合は送付・送致の義務が生じないため、捜査を遂げることなく警察限りで処理することも可能です。

この点に注目すると、しっかりと捜査して加害者を罰してほしいと考えるなら、被害届ではなく告訴するのが賢明でしょう。

もっとも、侮辱罪は親告罪であるため、警察捜査の段階で告訴することになります。

告訴状を提出する

告訴の方法は、刑事訴訟法第241条1項の規定によって「書面または口頭で」することになっています。

つまり、警察署で相談して「告訴したい」と意思を伝える方法でも受理は可能ですが、口頭での告訴が受理されるケースはまれです。

どのような状況でどういった侮辱を受けたのか、侮辱を受けた背景や告訴に至った経緯などを、証拠に基づいて詳しく説明する必要があるため、侮辱罪は口頭での告訴に不向きです。

実際には『告訴状』という書面の提出をもって告訴が受理されています。

警察に事件化を求める際は、まず告訴状を用意して出向くことをおすすめします。

発信者情報開示請求と削除請求

刑事罰を求めての告訴以外にも、インターネット上で侮辱行為が行われた場合には、該当する投稿は削除されなければなりません。

被害者が投稿者に対して「削除してほしい」と直接請求することも可能ですが、SNSやインターネット掲示板は匿名性が高く、投稿者を特定しにくいため、裁判所を通じてインターネットプロバイダへの『発信者情報開示請求』を実施します。こうした対応によって個人が特定されるケースが非常に増えてきています。

それでも投稿者が削除に応じてくれない、あるいは「侮辱にあたらないので削除には応じられない」などの対応を受けた場合は、

同じく裁判所を通じて、サイト管理者に対して削除請求を行う必要があります。

許せない侮辱行為で刑事告訴や情報の削除を検討しているなら弁護士に相談

侮辱罪の被害を受けて刑事告訴や情報の削除を検討している方は、まず弁護士に相談して必要なサポートを受けましょう。

刑事事件の解決実績を豊富にもつ弁護士に相談すれば、侮辱行為が実際に侮辱罪を構成するものなのか、ほかの犯罪にあたる可能性はないのかといった点を法的な視点から判断してもらえます。

刑事告訴に必要な告訴状の作成や警察への提出も依頼できるので、スムーズな刑事告訴が期待できるでしょう。

また、弁護士に依頼すれば、発信者情報開示請求によってSNS・インターネット掲示板での侮辱行為の加害者を特定することも可能です。

加害者に対する損害賠償請求を含めて対応を一任できるので、大きな手間を取られることもなく解決が期待できます。

最後に

インターネットを利用したSNSや掲示板を気軽に利用できる現代では、誰もが侮辱罪の被害を受けるおそれがあると同時に、思いがけず加害者になってしまうこともあります。

被害者となってしまった場合は、これ以上は被害が拡大しないためにも、早期に加害者の特定や投稿の削除といった法的措置を講じなければなりません。

加害者となってしまった場合も、早期に投稿を削除して被害者に謝罪するなどの対策を取らなければ刑罰が科せられてしまう可能性があります。

侮辱罪をめぐるトラブルの解決には弁護士のサポートがかかせませんが、気がかりになるのはやはり高額な弁護士費用でしょう。

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