「法テラスでは弁護士に無料で相談できるって聞いたけれど、本当?」 「どうすれば法テラスの無料相談を利用できる?」 |
などと気になっている方もいるでしょう。
法テラスでは、弁護士に無料で法律相談ができます。
ただし、条件を満たさねばならず、収入や資産が一定額以下でなければ利用できません。経済的に困窮している方向けのサービスといえるでしょう。
この記事では、法テラスで利用できる無料相談の概要を紹介するほか、無料相談の利用条件や利用方法について解説します。
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『ベンナビ』は、それぞれの分野を得意とする弁護士を探せるサイトです。掲載弁護士・法律事務所には無料相談に対応している場合も多いので、あなたが相談したい分野に注力している弁護士がみつかります。 | |
離婚問題 【対応内容】慰謝料(請求・減額)、財産分与、養育費、親権獲得、その他調停・裁判など |
労働問題 【対応内容】未払いの残業代請求、不当解雇、雇い止めなど |
刑事事件(加害者用) 【対応内容】痴漢・わいせつ、詐欺、傷害、薬物、窃盗、暴行、殺人など |
交通事故(被害者用) 【対応内容】慰謝料の増額請求、示談交渉、後遺障害、過失割合など |
債務整理 【対応内容】借金減額、任意整理、自己破産、個人再生、過払い金請求など |
債権回収 【対応内容】売掛金、残業代、家賃、養育費・慰謝料、キャンセル代など |
遺産相続問題 【対応内容】遺産分割、遺留分請求、使い込み返還、遺言書、相続放棄、成年後見など |
ネット誹謗中傷 【対応内容】掲示板の投稿削除、発信者情報開示請求、名誉毀損など |
法テラスで利用できる無料相談とは
法テラスには、経済的に困窮されている方向けに「民事法律扶助制度」が用意されています。
この制度を利用すれば、無料で弁護士や司法書士に相談することが可能です。
ここでは、法テラスで利用できる無料相談の概要を紹介します。
一回につき30分、3回まで利用可能
法テラスの無料法律相談の相談時間は、一回あたり30分程度です。
また、1つの問題につき、3回まで相談できます。
相談は基本的に法テラス事務所でおこなわれており、最寄りの法テラスは下記サイトより検索できます。
無料相談に対応してくれるのは弁護士・司法書士
法テラスでの無料相談に対応してくれるのは、法テラスと契約している弁護士、または司法書士です。
そのため、相談場所は法テラスの地方事務所だけでなく、弁護士や司法書士の事務所で実施されることもあります。
また、場合によっては対面だけでなく、電話やリモートでの相談に応じてくれることもあります。
法テラスで相談できる内容
法テラスで相談できるのは、刑事事件以外のトラブルです。
たとえば、交通事故の損害賠償請求や債権回収などの民事事件のほか、離婚や相続などの家事事件、国や地方自治体を相手とする行政事件などについて相談できます。
弁護士費用の立替制度も利用できる
相談だけでの解決が難しいために、弁護士へ依頼したいものの費用が支払えないという場合は、弁護士費用の立て替え制度を利用できます。
法テラスに立て替えてもらった費用は、あとから分割払いで返済します。
法テラスの無料相談を利用するための条件
法テラスの無料相談は、誰でも利用できるわけではありません。
以下の条件を満たす必要があります。
収入・資産が一定額以下であること
収入や資産といった資力が一定基準以下でなければ法テラスは利用できません。
収入、資産についての要件はそれぞれ次に紹介するとおりであり、両方の基準を満たす必要があります。
また、資力基準を満たすかどうかは、下記ページで簡単にチェックできます。
収入要件
無料相談を利用するには、申込者本人の手取り月収、または本人と配偶者の手取り月収の合計額が基準以下である必要があります。
ただし、離婚など配偶者が相手方となる事件であれば、配偶者の収入は合算しません。
また、基準額は居住地が「生活保護の基準に定める一級地」かどうか、家賃または住宅ローンを負担しているかどうかで異なります。
それぞれの場合の収入基準は以下のとおりです。「生活保護の基準に定める一級地」は、法テラスの下記ページで確認できます。
【東京・大阪など「生活保護の基準に定める一級地」に在住の場合】
同居家族の人数 |
手取り月収の基準 |
1人 |
20万200円以下 |
2人 |
27万6,100円以下 |
3人 |
29万9,200円以下 |
4人 |
32万8,900円以下 |
以下、同居家族が1人増えるごとに3万3,000円を加算。
【「生活保護の基準に定める一級地」以外に在住の場合】
同居家族の人数 |
手取り月収の基準 |
1人 |
18万2,000円以下 |
2人 |
25万1,000円以下 |
3人 |
27万2,000円以下 |
4人 |
29万9,000円以下 |
以下、同居家族が1人増えるごとに3万円を加算。
【東京・大阪など「生活保護の基準に定める一級地」に在住で家賃または住宅ローンを負担している場合】
同居家族の人数 |
手取り月収の基準 |
1人 |
25万3,200円以下 |
2人 |
34万4,100円以下 |
3人 |
38万4,200円以下 |
4人 |
42万900円以下 |
以下、同居家族が1人増えるごとに3万円を加算。
【「生活保護の基準に定める一級地」以外に在住で家賃または住宅ローンを負担している場合】
同居家族の人数 |
手取り月収の基準 |
1人 |
22万3,000円以下 |
2人 |
30万4,000円以下 |
3人 |
33万8,000円以下 |
4人 |
37万円以下 |
以下、同居家族が1人増えるごとに3万円を加算。
資産要件
申込者の現金、預金の合計額が以下の基準以下である必要があります。
同居家族の人数 |
資産合計額の基準 |
1人 |
180万円以下 |
2人 |
250万円以下 |
3人 |
270万円以下 |
4人 |
300万円以下 |
なお、3ヵ月以内に医療費や教育費を名目とした出費がある場合は、相当分控除されます。
勝訴する可能性がゼロではないこと
申込者が経済的利益を獲得できる可能性があることも利用条件の一つです。
より具体的には、弁護士や司法書士への相談によって、次のようなことが期待できるといえる必要があります。
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民事法律扶助の趣旨に沿っていること
以下のような場合は、民事法律扶助の趣旨に沿わないと判断され、援助を受けられません。
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法テラスの無料相談の利用方法
法テラスの無料相談を利用したい場合は、次の手順で進めましょう。
電話かWebで予約
無料相談の予約は電話かWebでできます。電話の場合は、下記サポートダイヤルもしくは近くの法テラス地方事務所に直接連絡するとよいでしょう。
【無料相談利用申し込み】 法テラス・サポートダイヤル:0570-078374 または 「お近くの法テラス(地方事務所一覧)」で近くの法テラスを調べて直接電話 |
また、Web予約をしたい場合は下記ページから予約します。
下記ページの注意事項や予約の流れを確認のうえ、利用しましょう。
利用可能か確認後予約成立
無料法律相談の利用条件を満たしているか、相談回数は制限内かなどを確認したあとに、予約が成立します。
電話であれば、その場で確認してもらえることが多いでしょう。
Webの場合は、一旦仮予約成立メールが届きますが、利用可能かの確認はそのあとにおこなわれます。
利用可能であることが確認できると、予約成立メールが届きます。
なお、利用することができない場合であっても、法テラスから電話もしくはメールで連絡がきます。
当日、予約した地方事務所で相談する
相談当日になったら、予約した法テラスの地方事務所に赴きましょう。
申込書を記入しなければならないため、予約時間の10分前までに訪問するのが望ましいところです。
また、相談の際は下記書類を持参しておきましょう。
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キャンセルや予約日の変更を希望する場合は、直接地方事務所に連絡します。
無断キャンセルをすれば、次回以降の利用ができなくなる可能性もあるので、注意しましょう。
法テラスの無料相談を有効活用するためのコツ
法テラスで弁護士に無料相談できる時間は30分しかありません。
何の準備もなく臨めば、あっという間に時間がたち、ほとんど何も得られないままで終わってしまうでしょう。
短い相談時間を最大限活用するためにも、次に紹介するコツの実践をおすすめします。
経緯説明は手短に
できるだけ多くの時間を本題に配分するためにも、経緯説明などの前置きにはあまり時間を費やしたくはありません。
できるだけ手短に済ませるためにも、問題が起こるまでのできごとを時系列に整理しておくなどの準備をしておくほうがよいでしょう。
経緯をまとめたメモや、相関関係図を作成しておくのもおすすめです。
聞きたいことは明確にしておく
弁護士への質問は明確にしておきましょう。何を知りたいのかわからないまま相談しても、有益なアドバイスは得られません。
最終的にご自身が望む結果を明確にしておき、「そのためにはどうすればよいのか?」ということや、ご自身がどうしたいのかまだ迷う場合には「決断を下すためには、どうすればよいのか?」などを質問するとよいでしょう。
ご自身が何を知れば次に進めるのかを、あらかじめ把握しておくことが大切です。
質問がいくつかある場合は、優先順位を付け、優先度の高いものから尋ねましょう。
証拠や資料はできるだけ持参
トラブルの証拠や資料があれば、弁護士がより正確に事実関係を把握できるため、具体的かつ有益なアドバイスが期待できます。
今後、解決するにあたって、どの証拠がどのように有効かも教えてもらえるでしょう。
また、ご自身では「証拠にはならないかな?」と思うものでも、できるだけ持参することをおすすめします。
弁護士に確認してもらえば、思いのほか有用である場合もあるでしょう。
どんなことも正直に話す
弁護士に相談する際には、うそや隠しごとをしてはいけません。
弁護士に正確なアドバイスをもらえなくなる可能性が高いからです。
あとになって、事実が明るみに出れば、途中まで順調に進んでいた事態が一転してどうしようもなく不利な状況に追い込まれてしまう可能性もあるでしょう。
弁護士には守秘義務があるため、何を話しても外部に流出する心配はありません。
事態を有利に収束させるためにも、弁護士には不利なことでも正直に話しましょう。
法テラスでの無料相談で解決しなければどうする?
法テラスで弁護士に無料相談をしても、解決しない場合もあるでしょう。
しかし、法テラスでは同じ問題についての無料相談は一人3回までで、4回目以降の利用はできません。
ここでは、無料相談で解決しなかった場合の対処法を紹介します。
資力基準を満たせば代理援助を利用できる
無料相談と同様の基準を満たせば、民事法律扶助制度の一つである「代理援助」を利用できます。
これは、法テラスに弁護士費用を立て替えてもらうことで、弁護士に依頼できる制度です。具体的な金額は立替基準表にあるとおり、事件の種類や訴額によって異なります。
利用には援助申込書、法律相談票など複数の申込書類の提出が必要です。申し込みに必要な書類は、下記法テラスのサイトよりダウンロードできます。
参考:法テラス|民事法律扶助
一般の法律事務所に相談する
一般の法律事務所でも、相談や弁護士への依頼ができます。
初回30分無料で法律相談をおこなっていたり、弁護士費用の分割払いに対応していたりする事務所も多くあるため、探してみるとよいでしょう。
法テラスの無料相談のメリット
法テラスの無料相談には、下記のようなメリットがあります。
費用を抑えられる
法テラスの無料相談は、同じ問題であれば一回あたり30分、3回まで利用できます。
一般の法律事務所でも無料相談を実施しているところは多くありますが、ほとんどの場合、一回30分の相談を1回限りしかできないでしょう。
このことからも、法テラスで相談するほうがかなり得であるといえます。
また、代理援助を利用して弁護士に依頼する場合も、その費用は一般的な法律事務所よりも低く設定されています。
弁護士に相談するにしても、依頼するにしても、費用を抑えられるでしょう。
経済的に余裕がない方が利用できる
法テラスの実施する民事法律扶助制度は、経済的に余裕がない方のための制度です。
そのため、生活に精一杯でとても弁護士費用を捻出できないという方でも利用できます。
専業主婦やさまざまな事情のために仕事ができない方でも、弁護士によるサービスを受けられる点は大きなメリットといえるでしょう。
法テラスの無料相談のデメリット・注意点
法テラスの無料相談には以下のようなデメリットや注意点もあります。利用を検討する際はよく確認しましょう。
すぐに予約をとれず、至急の相談には向かない
法テラスに申し込んでから実際に弁護士に相談できるまでには時間がかかります。
利用基準を満たしているかの審査があるうえ、常に弁護士の都合がついて予約が取れるとは限らないためです。
そのため、至急相談したい場合には向かないでしょう。
利用できる方が限られる
法テラスの無料相談は、だれでも利用できるわけではありません。
収入要件、資産要件などの利用基準を満たさなければ審査に通らず、利用できる方が限られます。
弁護士を自分で選べない
無料相談をする弁護士は、法テラスに登録している弁護士がランダムに選ばれて対応してくれるため、ご自身で選ぶことができません。
そのため、相談にのってくれる弁護士が必ずしもご自身の抱えているトラブルに精通しているとは限らない点には注意が必要です。
まとめ|一般の弁護士の無料相談を活用するのもおすすめ!
法テラスでは、無料で弁護士に相談できます。
しかし、一定の資力基準を満たさなければならないため、残念ながら利用できないという方もいるでしょう。
しかし、弁護士への無料相談は、法テラス以外にも一般の法律事務所でもできます。
法テラスとは異なり、ご自身で抱えているトラブルに精通した弁護士を選んで相談できるほか、初回無料相談を実施しているところも多くあり、相談だけであれば費用の心配もありません。
弁護士への無料相談を希望するなら、法テラスだけではなく、一般の法律事務所も検討しましょう。