遺産分割は弁護士へ相談すべき?必要な手続・費用相場を徹底解説 | ベンナビ弁護士保険  
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遺産分割は弁護士へ相談すべき?必要な手続・費用相場を徹底解説

遺産分割協議とは、相続人同士で話し合いを行い、亡くなった方の遺産の分け方を決める手続のことです。

遺産分割協議をきっかけに親しい仲がこじれてしまうケースがあるため、遺産分割に詳しい専門家へ相談を行うことが有益です。

本記事では、遺産分割を行う際の相談先の選び方や、費用を安く抑えるコツなどを紹介します。相談内容によっても依頼先が異なるため、それぞれの違いを抑えるようにしましょう。

【注目】話し合いで解決できなかった遺産分割問題を相談したいあなたへ

遺産分割に関する相談先探しで困っていませんか?結論から言うと、話し合いでの解決が見込めず、遺産分割調停・審判に移行する可能性がある方は、弁護士への相談が最適です。

今すぐにでも遺産分割問題の解決に向けて動き出したいなら、ベンナビ相続を活用しましょう。

ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)では、相談内容や地域別に遺産分割問題を得意とする弁護士を以下のような条件で探すことができます。

「弁護士が代理で交渉してほしい」「遺産分割調停・審判の手続きはどうすればいいんだろう...」「遺産分割協議書の作成に不安がある」など、あなたの悩みに弁護士は真摯に向き合います。まずはお気軽にご相談ください。

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この記事を監修した弁護士
三上 貴規(日暮里中央法律会計事務所)
早稲田大学法学部を卒業後、早稲田大学大学院法務研究科へ上位入学。
第一東京弁護士会 所属。現在は日暮里中央法律会計事務所の代表弁護士を務める。
 ▶事務所の詳細情報はこちら
(※本コラムにおける、法理論に関する部分のみを監修)

遺産分割の流れ

遺産分割協議をするにあたっては事前準備が重要です。事前準備がしっかりとできていなければ、トラブルが生じる可能性があります。

遺産分割協議がうまくまとまらなければ、家庭裁判所に遺産分割調停や審判を申し立て、解決を図ることになります。まずは遺産分割の流れを大まかに把握しておきましょう。

遺言書の有無を確認

相続が発生したら、まずは遺言書の有無を確認しましょう。遺言書がある場合、原則として、遺言書に従い遺産を分けることになります。

遺言書の有効性や内容の解釈について争いが起きた場合、遺産分割前に民事訴訟によって裁判所に判断してもらいます。

また、遺言書によってほとんど遺産を相続できなくなった場合には、遺言書によって遺産を受け取った者に対して、遺留分侵害額請求をすることができる可能性があります。

相続人の確定

遺産分割協議に参加する相続人を明確にします。ご自身で相続人を把握しているつもりでも、異母・異父兄弟等が存在する場合があります。

相続人の確定は被相続人の戸籍謄本を取り寄せることによって行います。被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を取り寄せて調査しましょう。

遺産の確定

相続人を確定させるとともに、遺産分割を行う遺産にどのようなものがあるのかも明確にしましょう。遺産分割協議を行った後に新たな遺産が発覚すると、せっかくの話し合いが無駄になったり、トラブルに発展したりするおそれがあります。遺産分割協議を行う前に遺産を全て洗い出しておくのが賢明です。

遺産の調査方法は、遺産の種類によって異なります。主な遺産に「預貯金」と「不動産」があります。

預貯金は、被相続人が利用していた金融機関に相続発生日(死亡日)の残高証明書を発行してもらうことによって調査します。

不動産は、当該不動産の所在地等を把握している場合は、登記事項証明書を取り寄せることによって調査することができます。また、不動産が所在していると考えられる市区町村役場で「名寄帳」を請求することで、当該市区町村の管轄内の不動産の一覧を把握することもできます。

不動産については、その価格をどのように評価するのかも問題となりますが、遺産分割においては実勢価格を基準とすることが多いと思われます。

遺産分割協議を行う

相続人全員で遺産の分け方を協議します。遺産分割協議のやり方に特に制限はありません。対面での話し合いはもちろん、書面や電話でのやり取りも可能です。

遺産分割協議は、相続人全員が納得することがゴールです。過度な自己主張は避け、必要に応じて譲歩することが大切です。

遺産分割協議書の作成

遺産分割協議がまとまったら、遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議の内容を書面にまとめた上で、全ての相続人に署名(記名)・押印してもらいましょう。押印は実印で行うのがよいでしょう。

遺産分割協議書は、後の言った・言わないのトラブルを防止してくれます。

また、遺産分割協議書を公証役場で公正証書にしておけば、相続人が協議内容に違反した場合に、強制執行を行うことができるケースがあります。

遺産分割協議書は「相続登記」や「預貯金の解約」などの手続の際に必要となります。不備のないように作成するために、弁護士などに依頼することをおすすめします。

親族でもめた場合の【調停】【審判】とは

遺産分割協議がまとまらない場合、遺産分割調停・審判を行います。まず遺産分割調停を申し立て、調停でまとまらなければ遺産分割審判に移行するという流れが一般的です。

遺産分割調停では、裁判官と調停委員とで構成される調停委員会が間に入り話し合いをまとめていきます。

遺産分割審判は、裁判官が諸事情を総合的に考慮し結論を出します。審判の内容に不満がある場合には、不服申立てが可能です。

遺産分割に関する相談先と費用相場

遺産分割に関する相談先としては概ね5つの選択肢があります。相談先ごとに、得意分野やサポートできる業務の範囲が異なります。

安易にインターネットの広告に釣られて相談してしまうと、悩みと専門家との相性が悪く時間の無駄になってしまうおそれがあります。

どの相談先が何を得意としているのかを理解し、ご自身の悩みを解決するのに適切な相談先を選択しましょう。

市役所・区役所などの公的機関

公的機関が主催する「無料相談会」で相談する方法があります。「弁護士」、「司法書士」、「行政書士」、「税理士」などが担当していることが多いようです。電話等で予約をして対面で相談会に出席するのが一般的です。

公的機関の無料相談会の日程は、自治体の広報誌やホームページなどで告知されます。人気が高く、希望の日程どおりにならないケースもあるようですので注意しましょう。

司法書士

司法書士は、主に不動産に関わる分野が得意で、被相続人の不動産の名義を相続人に変更する相続登記を行うことができます。

司法書士に依頼する場合の主な費用の相場は、「登録免許税(固定資産税評価額×0.4%)」「必要書類取得(約6万円)」「手数料(約6万円)」「遺産分割協議書作成(遺産総額の0.3~1%)」です。

ただし、司法書士により料金体系は異なりますので、複数から見積もりをもらうなどするとよいでしょう。

税理士

税理士は税務申告に関する分野が得意です。具体的には、相続前に生前贈与を行う場合の贈与税の申告や相続後の相続税の申告を行うことができます。

税理士に相続税申告を依頼する場合の費用相場は、遺産の総額の0.5%〜1%です。遺産の総額が5000万円の場合は約25万〜50万円になります。

税理士費用の内訳は「基本料金+加算報酬」です。相続する遺産の種類や相続人の人数によって加算報酬が追加されます。

行政書士

行政書士は、権利義務に関する書類を作成することができるため、遺産分割協議書の作成について相談可能です。

行政書士に遺産分割協議書の作成を依頼した場合の費用相場は3万〜5万円であり、他の専門家よりは低いです。相続人の確定や相続財産の調査を依頼しても8万~10万円前後になるため、全て任せた方が費用対効果は高くなります。

弁護士

弁護士は他の専門家に比べて対応範囲が広く、さまざまな相談に回答が可能です。特に、遺産分割について相続人の間で争いが生じているケースでは、その解決を弁護士以外に依頼することはできません。

弁護士に依頼する場合の費用相場は、「遺産分割協議(約20万円〜)」、「遺産分割調停(約20万〜)」です。着手金に加えて、成功報酬金が発生するのが一般的です。

遺産分割の相談事例をパターン毎に解説

相続全般を大まかに知りたい【公的機関へ】

相続全般を大まかに知りたいケースでは、公的機関が開催する無料相談会を利用しましょう。無料で誰でも参加できるため、気軽に出席できます。

相談後、実際に専門家に依頼する際は、ご自身で依頼する専門家を探す必要があります。

また、無料相談会は1人30分程度と相談時間が限られているのが通常です。具体的な相談をする時間はなく、一般的な回答しか得られない可能性が高いでしょう。

相続登記をしたい【司法書士へ】

相続登記をしたい場合は、司法書士に相談するのがよいでしょう。弁護士も相続登記を行うことができますが、司法書士に任せる場合も少なくありません。

遺産の中に不動産がある場合には、司法書士への相談を検討してみましょう。

相続税の申告が心配【税理士へ】

相続税の申告が心配な場合は税理士に相談しましょう。税理士に相談すれば、相続税の正確な試算や節税を意識した遺産分割のアドバイスがもらえます。

しかし、相続税がかかるケースは比較的稀です。相続税は、遺産総額等から葬式費用・債務等を差し引いた正味の遺産額が、「3000万円+(600万円×法定相続人の数)」で算出される基礎控除額を上回った場合に発生します。

税理士への相談・依頼には費用がかかりますので、相続税が発生しないことが明白なケースでは注意が必要かもしれません。

費用を抑えて遺産分割協議書を作成したい【行政書士へ】

できる限り費用を抑えて遺産分割協議書を作成したい場合には行政書士に相談しましょう。

ただし、行政書士は、遺産分割協議を仲介したり、法的なトラブルを解決したりすることはできませんので、注意が必要です。

話し合いでの解決が見込めない、相続問題を幅広く依頼したい【弁護士へ】

弁護士は幅広い業務に対応でき、相続問題にはうってつけの相談先です。特に、話し合いでの解決が見込めない場合、遺産分割調停・審判に移行する可能性がありますが、これらの手続の代理は弁護士しか行うことができません。

また、遺産分割協議においても、弁護士のみが他の相続人と代理で交渉したり、仲介したりすることが可能です。他の相続人が無理な要求をして話が進まない場合なども、弁護士が法的な観点から説得することで、スムーズに話し合いが進む可能性があります。

遺産分割の相談前に確認しておくべきポイント

相続人を把握しておく

相談前に、相続人をできる限り把握しておきましょう。被相続人が再婚している場合は、前の結婚相手との間の子を見落としてしまう場合が多いです。

また、相続人と被相続人の従前の関係性や、相続人同士の利害対立の可能性についても整理しておくとよいでしょう。前者の例としては、「長女が被相続人を介護していた」などが挙げられます。後者の例としては、「長男と二男は仲が悪いため揉める可能性がある」などが挙げられます。

遺産の有無を確認する

相談前に、プラスの財産とマイナスの財産について、できる限り確認しておきましょう。

プラスの財産については、「通帳やキャッシュカードを探して利用していた金融機関を確認する」、「固定資産税の課税明細書を確認する」などが挙げられます。

マイナスの財産については、「相続人として信用情報機関に開示請求」をすれば消費者金融や銀行等からの借金を確認することができます。なお、この手続を弁護士に依頼することも可能です。ご自身で手続を進めるのが難しいと感じたら弁護士に相談してみましょう。

相談内容を整理しておく

相談前に、相談内容を整理しておきましょう。具体的には、「不満は何か」、「何を希望するのか」、「どのような手続を依頼したいのか」などです。

事前に相談内容を整理しておけば、相談先の専門家とのやり取りがスムーズになります。

まとめ|遺産分割の相談は専門家を頼ろう

遺産分割の相談先について解説しました。遺産分割においては、相続人の間で深刻な利害対立を生じるおそれがあります。そのような場合には、相続人だけで話し合いをまとめることは容易ではなく、専門家の助けを借りるべきでしょう。

遺産分割にはトラブルが付き物です。トラブルに対処するためには適切な相談先を選択しなければなりません。安易に相談先を決めてしまうと、問題が解決されずに費用と時間の無駄になってしまう可能性があります。

ご自身の不満や希望を整理した上で、不満を解消し、希望を実現するための最適な相談先を選択しましょう。相談先の専門家にはそれぞれ、得意分野・不得意分野、できること・できないことがあります。問題解決に最適な相談先を選び、後悔のない遺産分割を目指しましょう。

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