ホスラブに誹謗中傷などを書き込まれた場合、拡散などによる被害の拡大を防ぐためにも、サイト管理者に対して削除申請をするのが重要です。
また、損害賠償を請求したり、刑事責任を追及したりしたい場合には、まずは発信者情報開示請求(命令)をおこない、匿名の発信者を特定することから始める必要があります。
この記事では、ホスラブ上で権利侵害をされた方に向けて、ホスラブへの投稿で開示請求が認められた事例、開示請求をする場合の具体的な流れ、開示請求をした場合の期間と費用などについて解説します。
また、弁護士に発信者情報開示請求の手続きを依頼するメリットも紹介します。
ホスラブで権利侵害をされ、開示請求をしたい。でも、やり方がわからないし不安...と悩んでいませんか?
結論から言うと、IPアドレスなどは一定の期間を過ぎると自動で削除されるため、開示請求をしたい場合はできる限り早く対応することが重要です。
迅速かつ適切に対応できるか不安な方は、弁護士への相談・依頼をおすすめします。弁護士に相談・依頼すると、以下のようなメリットを得ることができます。
- 開示請求が認められるか判断してもらえる
- 開示請求をスムーズに進めるためのアドバイスを得られる
- 依頼すれば、開示請求に必要な手続きを一任できる
- 依頼すれば、投稿者を特定したあとの対応を任せられる
ベンナビITでは、発信者情報開示請求を得意とする弁護士をあなたのお住まいの地域から探すことができます。無料相談・電話相談などに対応している弁護士も多いので、まずはお気軽にご相談ください。
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実際にホスラブの投稿で開示請求が認められた裁判事例
ホスラブへの書き込みが権利侵害に該当し、裁判所によって開示請求が認められた事例は多くあります。まずは、実際に発信者情報開示請求が認められた事例を2つ確認しましょう。
キャストへの侮辱的な書き込みが権利侵害と認められた事例
匿名の投稿者がホスラブ上に、複数回にわたって風俗店所属のキャストの容姿やサービスを侮辱的に批判する書き込みをした事案で、原告は発信者の個人情報を開示するよう求めていました。
裁判所は、当該書き込みによる原告への権利侵害を認め、被告の経由プロバイダ2社に対して発信者の氏名や住所などを開示するよう命令を出しました。
裁判所名 東京地裁 裁判区分
判決 事件番号 令2(ワ)28595号
文献番号 2021WLJPCA03308024
枕営業の事実を書き込まれたことが権利侵害と認められた事例
匿名の投稿者が、「キャストが枕営業をしていた」という事実を書き込んだ事案で、原告は発信者の個人情報を開示するよう求めていました。裁判所は、枕営業をしていたことを書き込む行為は、そのキャストの社会的評価を低下させると認めたうえで、ソフトバンクとKDDIに対して発信者の氏名や住所などを開示するよう命令を出しました。
裁判所名 東京地裁
裁判区分 判決 事件番号
平28(ワ)44008号
文献番号 2017WLJPCA05298014
ホスラブで開示請求して投稿者を特定する2つの方法と手順
ホスラブで権利侵害をした匿名の投稿者を特定するための手続きとしては、2022年10月の改正プロバイダ責任制限法の施行に伴い導入された「発信者情報開示命令」と、従来の「発信者情報開示請求」の2種類があります。
ここでは、それぞれの手続きで投稿者を特定するまでの流れを確認しましょう。
改正後に新たに生まれた非訟手続きの場合
新設の発信者情報開示命令で投稿者を特定するまでの流れは、以下のとおりです。
①ホスラブの運営会社への発信者情報開示命令と提供命令の申し立てをする
まず裁判所に対して、ホスラブの運営会社(有限会社YDM)を相手方とする、発信者情報開示命令と提供命令の申し立てをおこないます。
提供命令の申し立てをした場合、裁判所から運営会社に対して提供命令が発令され、投稿者が利用しているプロバイダの名称と住所を知ることができます。
②プロバイダへの発信者情報開示命令と消去禁止命令の申し立てをする
次に、裁判所に対して、提供命令で開示されたプロバイダを相手方とする、発信者情報開示命令と消去禁止命令の申し立てをおこないます。
プロバイダに対する申し立てでは、投稿者の氏名や住所などの開示をするよう求めます。
また、消去禁止命令を申し立てることで、プロバイダに投稿者のログイン情報を保存させておくことができます。
③2つの開示命令を併合して1つの事件として審理してもらう
プロバイダへの開示命令の申し立てをしたら、次はサイト管理者に対して通知をおこないます。
通知を受けたサイト管理者は、プロバイダに対してIPアドレスなどを開示し、裁判所に「プロバイダにIPアドレスを提供した」ことを通知します。
これにより、裁判所は①と②の開示命令を併合し、1つの事件として審理をします。
一方、提供命令を外した場合は、一から申し立てることになるでしょう。その場合、ホスラブに対する発信者情報開示命令は取り下げるのが基本となります。
④開示命令が認められれば、投稿者の個人情報が開示される
審理の結果、裁判所が開示命令を決定すると、投稿者の氏名や住所などが開示されます。
従来の開示請求の場合
従来の発信者情報開示請求で投稿者を特定するまでの流れは、以下のとおりです。
①ホスラブの運営会社に発信者情報開示請求をする
ホスラブの運営会社に対して、発信者情報開示請求をおこないます。
手続きには任意開示と法的手続きの2種類がありますが、任意開示では応じてもらえないこともあるため、通常は法的手続きが必要になります。
まずは裁判所に「発信者情報開示仮処分命令」の申し立てをおこない、開示請求が認められると投稿者のIPアドレスなどを入手できます。
②開示されたIPアドレスからプロバイダを特定する
ホスラブの運営会社から開示されたIPアドレスをもとに、投稿者が利用しているプロバイダを特定します。
プロバイダは、「WHOISサービス」などでIPアドレス(192.0.2.34」のような数字)を入力することで特定できます。
③プロバイダに投稿者の発信者情報開示請求をおこなう
②で特定したプロバイダに対して、発信者情報開示請求をおこないます。
プロバイダの場合も手続きは2種類ありますが、任意開示では応じてもらえないこともあるため、通常は法的手続きが必要になります。
また、この場合は「発信者情報開示請求訴訟」となり、この裁判で投稿者の氏名や住所などの開示を求めることになります。
④開示請求が認められれば、投稿者の個人情報が開示される
任意開示や裁判の結果、開示請求が認められれば、プロバイダから投稿者の氏名や住所などが開示されます。
IPアドレスの保存期間には要注意
インターネット上で匿名の投稿者に権利侵害をされて発信者情報開示請求をしたい場合は、できる限り早く対応することが重要です。
これは、サイト管理者やプロバイダが管理している投稿者のIPアドレスなどは、一定の期間を過ぎると自動で削除されてしまうためです。
なお、IPアドレスの保存期間は一般的に「3~6ヵ月程度」とされています。迅速かつ適切に対応できるか不安な方は、インターネットトラブルが得意な弁護士に依頼するのがおすすめです。
ホスラブに開示請求する場合にかかる期間と費用
ここでは、ホスラブで権利侵害されて発信者情報開示請求をする場合にかかる期間と費用について確認しましょう。
投稿者の特定までにかかる期間
発信者情報開示請求で投稿者を特定するまでにかかる期間は、以下のとおりです。なお、相手方が争う姿勢を見せて裁判が長引くなど、事案によっては特定まで長い期間を要する場合もあります。
手続きの種類 |
投稿者特定までの期間 |
発信者情報開示命令 |
3~6ヵ月程度 |
発信者情報開示請求 |
9~10ヵ月程度 |
ホスラブの開示請求でかかる費用
ホスラブの発信者情報開示請求にかかる費用の目安は、以下のとおりです。なお、発信者情報開示請求を弁護士に依頼した場合は、裁判所費用に加えて弁護士費用も発生します。
手続きの種類 |
投稿者特定までの費用 |
発信者情報開示命令(提供命令、削除禁止命令含む) |
4,000円程度 (切手代等別途必要) |
発信者情報開示請求 |
仮処分命令:印紙代2,000円程度、切手代1,000円程度、担保金10万円程度 訴訟:印紙代1万3,000円程度、切手代6,000円程度 |
開示請求をITに注力している弁護士に依頼するメリット
ホスラブの発信者情報開示請求を弁護士に依頼する場合、インターネットトラブルに注力している弁護士を選ぶのがおすすめです。
インターネットトラブルが得意な弁護士であれば、開示請求ができるかどうかの判断をしてくれたり、投稿者の特定に向けて迅速に対応してくれたりします。
ここでは、発信者情報開示請求を弁護士に依頼するメリットを確認しましょう。
開示請求が認められるかどうかの判断をしてもらえる
発信者情報開示請求をするためには、以下のような要件を満たしている必要があります。
・情報開示を受けるべき正当な理由がある
・補充的な要件を満たしている
上記の要件を満たしていない場合、サイト管理者やプロバイダから投稿者の個人情報の開示を受けることができません。
インターネットトラブルが得意な弁護士に相談すれば、書き込み内容などから発信者情報開示請求が認められるかどうかを判断してくれます。
また、発信者情報開示請求をスムーズに進めるためのアドバイスなども望めます。
発信者情報開示請求に必要な手続きを一任できる
従来の発信者情報開示請求で投稿者を特定する場合、裁判所に仮処分命令の申し立てをしたり、訴訟を提起したりするなどの手続きが必要です。
その際、申立書などの書類を準備したり、裁判所に行って主張したりする必要があります。弁護士に依頼すれば、このような発信者情報開示請求に必要な手続きを代わってくれます。
投稿者を特定したあとの対応を任せられる
投稿者を特定したあとは、加害者に対して損害賠償を請求したり、投稿が名誉毀損罪や侮辱罪などの犯罪に該当する場合には刑事告訴したりすることになります。
弁護士に依頼すれば、投稿者との示談交渉を代わってくれます。また、刑事告訴に関するサポートなども受けられます。
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ホスラブに削除依頼を出す手順と注意点
ホスラブに投稿された書き込みを放置していると、まとめブログ(ミラーサイト)に転載されたりして、被害が大きくなるリスクがあります。
被害の拡大を防ぐためには、被害事実の証拠を確保し、できる限り早く運営会社に削除依頼を申請することが重要です。
ホスラブの削除依頼の出し方・手順は、以下のとおりです。
【ホスラブの書き込みを削除する手順】
2.地域ごとの削除依頼フォームへアクセスする
3.必要な情報を入力し削除依頼をする
ホスラブに申請した削除依頼は公開される
ホスラブの「削除依頼フォーム」から申請した削除依頼は、サイト内で「削除依頼履歴」として公開されます。
二次被害を防止するためにも、申請する際は具体的な削除理由を書き込まないように注意しましょう。
たとえば、「個人情報にあたるため」「誹謗中傷にあたるため」など、削除理由はシンプルなものにするのがおすすめです。
なお、通常は96時間(4日)を目途に削除されますが、数日待っても削除されない場合は弁護士に相談するとよいでしょう。
ホスラブで開示請求をする際によくある疑問
最後に、ホスラブの開示請求に関するよくある質問・疑問を解説します。
本名じゃない源氏名での中傷でも開示請求はできる?
源氏名で誹謗中傷されている場合でも、発信者情報開示請求はできる可能性があります。発信者情報開示請求をする場合、同定可能性といって、「書き込みを見た方が被害者を特定できること」が条件になります。
たとえば「○○店の△△さん」などと書き込まれており、その店舗に同名のキャストが在籍しない場合には、同定可能性が認められる可能性が高く、発信者情報開示請求ができることもあります。
店に対する中傷でも開示請求できる?
キャストではなく、店舗に対する誹謗中傷でも発信者情報開示請求はできます。
発信者情報開示請求がおこなえるのは「自己の権利を侵害されたとする者」であり、基本的には個人だけでなく法人なども含まれます。
そのため、店舗が書き込みにより信用毀損や営業妨害などをされた場合には、投稿者の情報開示が望めます。
すでに削除済みの投稿でも開示請求はできる?
ホスラブに投稿された内容が削除されていても、投稿者を特定して損害賠償を請求したり、刑事告訴したりするなどの正当な目的がある場合には、発信者情報開示請求ができます。
投稿者が書き込みをした時点で不法行為・犯罪行為は成立しているため、スクリーンショットなどで被害事実を証明できれば投稿者の情報開示が望めます。
まとめ|誹謗中傷で悩んでいる方は弁護士に相談を
悪質な書き込みをされた場合、「ホスラブ上で権利侵害をされたこと」を立証することができれば、発信者情報開示請求によって投稿者を特定できる可能性があります。
しかし、発信者情報開示請求をしたくても、どのような証拠が必要なのか、どのように対処すればよいかわからないという方も多いでしょう。
そのような方は、まず「ベンナビIT」で発信者情報開示請求が得意な弁護士を探して、相談してみることをおすすめします。
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