著作権侵害は誰にとっても身近な問題です。
「LINEでタレントの写真やマンガのイラストを使う」「動画配信で音楽をかけている」など、何気なくしている行為が著作権侵害に該当してしまうケースがあることをご存じでしょうか。
著作権侵害の罪は重く、未成年が逮捕された事例もあります。
この記事ではどのような行為が著作権侵害にあたるのかわかりやすく解説し、著作権侵害を犯さないためのアドバイスを紹介します。
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そもそも著作物とは?
著作権法第二条第一項第一号では、著作物を以下のように定義しています。
思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
「思想又は感情」とされているため、ただの事実は著作物にあたりません。
また「創作的に」とは、それを創った人方の個性が反映されているかどうか重要です。
そのため他人の作品を模写したりコピーしたりしことが明らかな場合は、そこに創作性やオリジナル性がないため、著作物には該当しません。
具体的に著作物とされるのは以下のようなものです。
【著作物の代表的な例】
- 小説
- エッセイ
- 曲
- 歌詞
- 絵画
- 風景写真
- イラスト
著作権侵害かどうかを判断する要件
著作権侵害かどうかは以下の5つの基準を満たすかどうかで判断されます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
著作物であること
冒頭で説明したとおり、対象となっているモノが著作物であるかどうかがひとつ目の基準です。
たとえば事実やデータは、そこに思想や創作性がないため著作物にはあたりません。
著作権が存続していること
実は著作権はずっと効力が生き続けるわけではありません。一部例外はありますが、著作者の死後70年がたったものは著作権が消滅します。
そのためその著作物に著作権が存在しない場合は、著作権侵害とは認められません。
依拠性が認められること
依拠性とは、その著作物をもとに創作がおこなわれていることを意味します。
たとえば絵を描いた際に既存の著作物と類似してまっても、著作物をもとに書いた訳ではなく偶然一致してしまっただけなので、著作権侵害になりません。
同一性・類似性が認められること
同一性・類似性とは、著作物にあるオリジナル・特徴的な要素が類似しているかどうかという意味です。類似している共通点が、その作品の本質的特徴を感覚的にイメージさせるかどうかが肝です。
たとえばあるキャラクターのイラストが類似してしまった場合、それがあくまで参考をもとに書かれている程度のモノであれば類似性は認められません。
ただし、そのポーズやカメラアングルなど、オリジナルの作品の特徴を直感的に感じてしまう場合は、類似性が認められる可能性があります。
著作物を利用する権利を持っていないこと
著作物であっても著作者の承諾を得ていれば、著作権侵害にはあたりません。逆をいえば無断で著作物を使用する行為はNGということです。
身近にある著作権侵害の事例
ここでは身近に潜む著作権侵害の事例を紹介します。
音楽を無断で使用する
たとえばお店でかけている音楽の場合、一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)を通じて使用の許可をとらないまま音楽を流してしまうと、著作権侵害に該当してしまいます。
CDがオーナーのものであり、個人で聴く分には著作権侵害にはあたりません。ただし、店内で音楽をかける行為は無断使用とみなされ、著作権侵害に該当する場合があります。
テレビ番組やマンガをネットで配信する
テレビ番組やマンガをネット上で配信する行為も、著作権侵害の代表的な例です。過去にはマンガを無断でネット上に公開したサイトに対して、出版社が19億円を超える損害賠償を請求する事件がありました。
TwitterやLINEなどSNSのアイコンでタレントやマンガの写真を使用する
中学生や高校生にもありがちですが、SNSのアイコンにタレントやマンガの写真を利用するのは著作権侵害に該当します。
たとえば写真を利用してアルバムを作っても、自分や身の回りの限られていた人のなかでしか見られることはありません。一方でSNSのように不特定多数の人に見られる場で勝手に利用することは著作権侵害に該当します。
文章を複製する
論文や小説などは著作物にあたるため、それを無断で使用することはできません。
すでに発表されている論文の内容を少しだけ変更し、あたかも自分が書いたかのように振る舞うことは著作権侵害にあたります。
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著作権侵害に当たらないのってどんな場合?
ここからは、著作権侵害に当たらないケースを紹介します。
私的利用にあたる場合
著作物を私的な範囲内で楽しむ場合は、著作権侵害にはあたりません。私的な範囲とは「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲」とされています。
たとえば音楽のCDを買い、それを家族のいる家でかける場合は私的利用の範囲内に収まるため、著作権侵害にはなりません。
教育目的の利用の場合
授業など教育目的で使う場合は、著作権侵害に該当しない場合があります。
たとえば学校で使うことを想定された教材の一部を授業で使うためにコピーすることは、著作権侵害には該当しません。
引用の要件を満たしている場合
引用の要件を満たしている場合も、著作権侵害にはあたりません。引用とは自分の創作物のなかで、他人の著作物の内容を利用する行為です。
引用する場合は、利用した箇所がどこから引用してきたのかを明示し、かつその創作物を創るうえで必要と判断される必要があります。
たとえば論文を書く場合、過去に発表された論文の内容を引用しなければ書けないこともあるでしょう。こういった場合は引用部分をはっきりわかるようにしたうえで利用すれば、著作権の侵害には該当しません。
著作権侵害をするとどうなる?
著作権侵害を犯すと、以下のような責任が発生する可能性があります。
民事上の責任
差止請求といって、著作権侵害の対象となっているモノの使用をストップさせられてしまうことがあります。また、著作権侵害によって被った被害を損害賠償として請求されることもあるので注意が必要です。
刑事上の責任
著作権侵害を犯した場合、以下のいずれか、もしくは両方が課せられる場合があります。
- 10年以下の懲役
- 1000万円以下の罰金
- 3億円以下の罰金(企業の場合)
弁護士保険で著作権トラブルに備えよう
普段何気なく過ごしていても、知らない間に著作権侵害を犯してしまっているケースは少なからずあります。
著作権侵害を起こしてしまった場合、場合によっては非常に重い責任を負うことになるので注意が必要です。トラブルが起きてしまった場合はすみやかに弁護士に相談するのがよいでしょう。
このようなリスクに備えたい方は、弁護士保険を検討するのがおすすめです。
弁護士保険とは弁護士費用を補償するための保険です。毎月2,000~4,000円ほどの保険料を払うだけで、高額な費用負担を軽減することができます。
いつ・どこでトラブルに巻き込まれるかわからないからこそ、今のうちに加入しておくのが賢明といえます。
まとめ
著作権侵害という言葉はよく耳にするものの、知らない間に犯してしまっているケースは非常に多いのが現状です。著作権侵害の罪は重く、過去にはネットでマンガを配信した中学生が逮捕される事例も起きています。
このようなトラブルに起こさない・巻き込まれないためにも、正しい知識を身につけておくことが重要です。
法律トラブルが発生した際、状況によっては高額な弁護士費用が必要になることもありますが、事前にベンナビ弁護士保険に加入しておけば弁護士費用の負担を軽減できます。
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