相続争いのよくある事例|対処法や相続前にできる対策を紹介 | ベンナビ弁護士保険  

相続争いのよくある事例|対処法や相続前にできる対策を紹介

相続争いの件数は年々増加しています。

「家族関係が悪い」「親の財産が多く、死亡後にもめそう」と、身近に感じている人は多いのではないでしょうか。「自分は大丈夫」と思っている方も、思わぬタイミングで相続争いに巻き込まれる場合があります。

そこで、この記事では相続争いがどんなケースで起きやすいのか、起きてしまった場合どのように対処すればよいのかをわかりやすく解説します。

これから相続を控えている方に向けて、相続争いに備える方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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この記事を監修した弁護士
大隅 愛友
大隅 愛友弁護士(弁護士法人ベストロイヤーズ法律事務所)
遺産分割/不動産の相続/遺留分請求/遺産の使い込みトラブル/遺言書の作成など相続トラブルはご相談ください!経験・実績豊富な弁護士が納得いく解決を目指します。

相続争いの件数は年々増加中

司法統計によると、平成12年から令和2年までの20年間で約2,500件増加しています。遺産分割に関する事件の件数は年々増加しており、家族構成や家庭の環境が多様化し複雑になったことで、相続がもめるケースが増えてきたと推測できます。

「自分は関係ない」と思う人が多い一方で、誰にとっても身近な問題になりつつあるといえるでしょう。

【参考】裁判所_司法統計

そもそも相続人とは?誰が該当する?

相続人になれるのは、配偶者と、血縁関係のある人とされており、配偶者は常に相続を受ける権利を得られます。配偶者以外の相続人のなかでも優先順位があり、順位が高い順に相続する権利を得られます。

【法定相続人の順位と取り分】

  • 第1順位:子ども(1/2)
  • 第2順位:親(1/3)
  • 第3順位:兄弟姉妹(1/4)

たとえば亡くなった方に配偶者と子どもがいた場合、子どもと配偶者に1/2ずつ財産を相続する権利が与えられます。

また、仮に子どもがおらず両親と配偶者のみの場合は、親は1/3、配偶者は2/3を相続する権利をもつということです。

このようにまずは相続の順位が高い人から該当者がいるかを確認し、配偶者と配偶者以外の相続人で財産を分け合う、というのが基本的な考え方といえます。

相続争いってどんなときに起こるの?

ではどのような場合に相続争いが起きるのでしょうか。ここから先はよくある相続争いの事例を紹介します。

目録がなく遺産の全容がわからない

相続する財産がどれくらいあるか明確でない場合、トラブルが起きやすい傾向があります。

相続人同士の関係が良好ならただ手間がかかるだけで済むかもしれませんが、あまり関係がよくない場合は水面下で資産を探り合ったり相手にあらぬ疑いをかけたりと、もめごとに発展しかねません。

なお、財産とは預金や土地といったプラスの資産だけでなく、借金といったマイナスの資産も含まれます。

【具体的な財産の例】

・預貯金

・車

・土地や家などの不動産

・株や投資信託などの有価証券

・貴金属

・借金

遺言書がない場合

遺言書がない場合もよくあるトラブルの原因です。

遺言書がない場合は法定相続人の順位にのっとり財産が配分されていくことになります。

被相続人の意向がわからないまま相続が進むと「自分は親に一番かわいがられていたからもっともらえるはず」「〇〇は相続するに値しない」といった争いごとに発展しておく可能性があります。

遺留分が考慮されていない内容になっている場合

遺留分とは配偶者・子・親や祖父母といった直系尊属など一定の法定相続人に認められる、最低限の相続分のことです。

たとえば遺言書で「遺産はすべて自分の長男に相続させる」といった内容が記載されていた場合でも、弟や配偶者は遺留分を相続可能です。

このほかにも遺言書に記載されている遺産の配分にあまりにも偏りがある場合は、争いの元になりやすい傾向があります。

介護をしていた相続人が寄与分を主張する場合

「自分は介護をしていたからもっともらうべきだ」といったように、生前に被相続人の世話や介護をしていた兄弟がいると、寄与分をめぐって争いになるケースがあります。

寄与分とは被相続人(亡くなった方)の財産維持・増加に貢献した人に対して、ほかの相続人よりも多くの財産を相続できる制度のことです。

とくに介護をしていた相続人が、法定相続の内容に納得できないときに問題となります。

基本的に寄与分については遺産分割協議での話合いで決めるのが原則ですが、納得が得られない場合は家庭裁判所で判断してもらうことになります。

不動産を相続する場合

相続する財産に不動産が含まれている場合は、トラブルに発展しがちです。

不動産の評価方法で食い違いが起こったり、誰が・どのように精算するかの決着がつかなかったりと、預金のようにきっちり分割することが難しいため、折り合いが付かないケースが多い傾向にあります。

一部の人だけに生前贈与がおこなわれていた場合

生前贈与とは、被相続人が生きている間に相続人に対して贈与をおこなうことです。

一部の相続人に対してだけ生前贈与がおこなわれていると、その分を考慮した相続でないと不公平感が生まれ、トラブルや言い争いに発展しやすくなります。

再婚や内縁の配偶者が絡む場合

再婚や内縁の配偶者がいる場合も、トラブルになる原因です。

稀にあるのが、前配偶者が相続する権利を主張するケースです。

ただし、離婚したあとは相続する権利がなくなるため、過去に婚姻関係があったとしても元配偶者は相続する権利がありません。血縁関係のある子どもがいる場合は、子どもに相続する権利が与えられます。

新しい家族からすると生活を一緒にしていないのに相続する権利があるという点に不満を感じる場合もあるでしょう。こういったことが原因で争い発展していきます。

また内縁の配偶者がいた場合は、前配偶者同様に相続する権利はもっていません。

そのため、実質的に生活を支えていたとしても法定相続人に財産をとられてしまい、結果としてトラブルになってしまうというケースがあります。

相続争いによるデメリット

専門的な知識がないと不利になる場合がある

相続は関係する人の数が多く、非常に複雑です。専門的な知識がないままなんとなく済ませてしまうと、場合によっては周りよりも不利な条件で相続する羽目になってしまい、損をしてしまう可能性があります。

相続が長引けば税金の控除を受けられなくなることも

相続が長引くと、不動産に関する減税を受けられなくなってしまう場合があります。

小規模宅地等の特例といって、相続する土地の評価額を最大80%減額できる制度があります。これにより相続税を大幅に削減することが可能です。

ただし、この特例の適用を受けるには相続人が亡くなったことを知った日から10か月以内に申告する必要があります。

相続でもめて申請期限を過ぎてしまうと、不動産の相続人は非常に大きな損をしてしまう可能性があります。

精神的に疲弊する

ただでさえ争い事は疲れるものです。相続争いの場合、知っている相手であるがゆえに、より精神的に疲弊してしまうことでしょう。

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相続争いを回避するにはどうすればいい?

相続争いを避けるために準備できることはあるのでしょうか。ここでは被相続人が亡くなる前に実行してほしい3つのポイントについて解説します。

日頃からコミュニケーションをとる

被相続人・相続人ともに、日頃からコミュニケーションをとることが非常に重要です。

関係性が築けないまま相続に直面すると、次第に疑心暗記になり周りのいっていることが信用できなくなってしまうこともあるでしょう。

日頃からこまめにコミュニケーションをとっておくことで、そもそも争いが起きそうな雰囲気を抑制することはもちろんですが、相手の人となりを知っておき意見の衝突が起きても相手を許せるようになっておくことが重要といえます。

公正証書遺言を作成する

被相続人の意向をきちんと遺せるよう、遺言書の作成を依頼しておくのがおすすめです。

公証人という専門家が作成に関与してくれる公正証書遺言であれば、より遺言の確実性が高まり、遺言書が無効となるリスクも抑えられます。

また、公正証書遺言の場合、原本が公証役場に保管されるため、紛失の危険性も回避できます。

遺産目録をつくり、資産の状況を整理しておく

被相続人が存命している間に遺産目録を作ってもらい、どの資産がどれくらいあるかを明確にしておくことも重要です。

これによって隠し財産の探り合いがなくなるので、どのように配分すればよいかの話合いに集中できるようになります。

トラブルが起きてしまったら弁護士に依頼しよう

すでにトラブルが起こってしまった場合は、弁護士に相談するのがよいでしょう。弁護士に相談するメリットは次のとおりです。

相続トラブルを解決しやすくなる

相続争いは非常に複雑なため、法律の専門家である弁護士がいたほうが円滑に処理できる可能性が高いといえます。

また、当事者同士だとこちらの意見が正しいのか判断がつきにくいですが、法律家としての観点で判断してもらったほうが最終的な納得感も得られやすいでしょう。

交渉を任せられるので精神的に安心できる

知識がないまま協議に合意してしまい、あとから損をしていることに気づくというケースも少なくありません。また、身内同士の争いで精神的に擦り減ってしまうということも考えられます。

そのため、難しい交渉を代わりにしてくれる弁護士がいたほうが、精神的な安心感を得られるでしょう。

問題が起こる前なら、弁護士保険で弁護士費用に備えるのも手

このように家庭によっては相続争いが起きるリスクが高い場合があります。実際トラブルが起こってしまうと、もはや弁護士に依頼せざるを得ないのが実情です。

ただ、高額な弁護士費用がネックになり、泣き寝入りしてしまう人がいるのも事実です。

もし相続争いが起きる前なら、弁護士保険に加入するのがおすすめです。弁護士保険とは、弁護士に仕事を依頼した際にかかる費用を補償してくれる保険のことです。

毎月2,000~4,000円の保険料を払うことで、高額な弁護士費用を負担するリスクを軽減してくれます。

加入直後やすでに起こっているトラブルについては補償されないため、将来相続争いが起きそうだと感じている人であればおすすめの保険といえます。

まとめ

相続争いは身内同士でのもめごとになるため、精神的に疲弊してしまいがちです。また、内容も複雑なため自分一人で解決しようと思ってもなかなかうまく解決できないでしょう。

相続争いが起きないよう、日頃からコミュニケーションをとったり被相続人に終活を進めてもらったりと、あらかじめ準備をしておくことが重要といえます。

ただそれをしてもトラブルが避けられない場合は、きちんと弁護士に依頼して解決してもらいましょう。

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