いつも通りに生活していても、法的なトラブルに巻き込まれて裁判に発展する場合があります。
実際に裁判に臨む人の中には、もし裁判に負けた場合、負けた側が全ての裁判に掛かる費用を支払うのか、不安に感じている方もいるかもしれません。
そこで今回は、裁判に負けた場合の費用負担について解説します。
また、裁判費用を抑える方法を紹介するので、仮に裁判に負けたとしても費用に対する負担を軽減できます。裁判を控えている方は参考にしてください。
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(※本コラムにおける、法理論に関する部分のみを監修)
民事裁判の費用は負けた側が支払うのか?
民事裁判に掛かる費用は、勝訴側と敗訴側のどちらが支払うのでしょうか。
結論からいうと、民事裁判に負けた側が支払う費用の方が多くなります。
ここでは、負けた側がどの程度まで負担する必要があるのか、裁判費用の負担や請求について解説します。
裁判に負けることの定義
裁判に負けることを敗訴といい、民事裁判の判決において自分の申し立てや主張が認められない判決が下されることを指します。
訴えた側のことを原告といいますが、原告にとっては「賠償請求や訴えが棄却される判決」が敗訴となります。
逆に、訴えられた側である被告にとっては「原告の請求内容が認められる判決」が敗訴となります。
請求の内容によっては0か100かではなく、原告の請求が一部だけ認められる場合ももちろんあります。
裁判に負けた側は訴訟費用を負担する
裁判に掛かる費用には、訴訟を起こす際などに裁判所に納める訴訟費用と弁護士への委任した際に必要となる弁護士費用があります。
弁護士費用は原則として当事者がそれぞれ負担するものですが、後に述べるように一部例外的に損害額の10%程度に限り、弁護士費用が損害として判決で認められることがあります。
先にも述べたように、裁判に負けた側は、一部の訴訟費用を負担する必要があります。
全ての費用を負担する必要はありませんが、原則として、訴訟費用は裁判に負けた側が負担します。
そもそも訴訟費用とは、訴訟を起こす際に裁判所に納める費用のことですので、基本的には原告が一旦立て替えることになっています。
そして、裁判の判決により敗訴者が確定した後に、負けた側が訴訟費用を負担するのが原則です。
ただし、判決内容によっては勝訴側も訴訟費用の一部を支払うケースがあります。
裁判に負けた側が弁護士費用を請求される例外
民事裁判に敗訴したとしても、相手の弁護士費用まで負担する必要はありませんが、例外的に相手の弁護士費用の一部を負担しなければいけない場合があります。
一つは不法行為に基づく損害賠償請求が認められた場合です。
損害賠償請求とは、不法行為によって損害を被った側が、相手に賠償を求めることをいいます。
たとえば交通事故や痴漢、盗撮、暴行、傷害、パワハラ、セクハラなどの被害、名誉棄損、医療事故、配偶者の不倫などが不法行為に当たり、被害者側は不法行為によって生じた損害として損害額の10%程度の弁護士費用を請求できます。
もう一つは労災(労働災害)の発生時などで労働者が会社を訴える場合です。労働者がいわゆる「安全配慮義務違反」として会社を訴えて損害賠償請求をする場合、会社の責任が認められると弁護士費用も損害として認められています。
ただし、判決で認められた賠償請求額の約10%が弁護士費用として認められるケースがほとんどです。
たとえば400万円の損害が認められた場合、10%の40万円を弁護士費用として含め、相手側に対して440万円の支払命令が下されます。
相手側から請求されるのは相手方が実際に負担した弁護士費用の全額ではないことを理解しておきましょう。
示談、調停、和解では弁護士費用を請求できない
示談や調停、裁判上での和解によって事案が解決した場合は、通常は、相手側の弁護士費用を負担する必要はありません。
示談や調停の段階では、互いに譲歩することになるので弁護士費用まで上乗せして支払うことはほとんどありません。
ただし、裁判になった場合、和解で解決する場合には裁判所の判断で、遅延損害金や弁護士費用を考慮し、少し上乗せされることがあります。
裁判に負けた側が支払う費用はどれくらいなのか?
裁判に負けた側が訴訟費用を支払うことは解説したとおりですが、具体的にはどれくらいの費用が必要になるのでしょうか。
ここでは訴訟費用と弁護士費用の種類や目安を元に、実際にどれくらいの負担になる可能性があるのかを解説します。
裁判には訴訟費用と弁護士費用が必要
一般的に民事裁判を提起していくには訴訟費用と弁護士費用が必要です。
少額訴訟を一人で起こす場合や本人訴訟を起こす場合など、弁護士費用が不要になるケースもあります。
しかし、ほとんどの民事裁判で原告側も被告側も弁護士を雇うのが一般的なので、弁護士費用は裁判の費用の想定に含めておくのが良いでしょう。
また、弁護士費用が不要なケースでも、裁判を起こす場合は、訴訟費用を一旦立て替える必要があります。
訴訟費用の種類
訴訟費用とは、裁判を起こすために必要な費用で、裁判に負けた場合は負担する必要があります。
訴訟費用の内訳は下記のとおりです。
- 裁判所手数料
- 予納郵便代
- 証人の旅費や日当
- 鑑定費用
- 謄写費用
裁判所手数料とは、裁判を起こすために裁判所に支払う費用です。また予納郵便代は、裁判中における連絡用の郵便切手代です。
これらの費用は全ての民事裁判で必要になる費用です。
また、裁判の状況や内容によって、裁判に呼ぶ証人の出張手当や交通費などに当たる旅費・日当、専門家による鑑定が必要な場合の鑑定費用、裁判所で作成された調書をコピーするための謄写費用などが発生するケースがあります。
なお、原告が訴訟費用を相手に請求したい場合、訴状に訴訟費用を被告側が負担する旨を記しておく必要があります。
弁護士費用の種類
弁護士費用とは、裁判への対応のために弁護士を雇うのに必要な費用で、原告か被告に関わらず、弁護士を雇う場合は、それぞれが負担します。弁護士費用の内訳は下記のとおりです。
- 相談料
- 着手金
- 報酬金
- 日当
- 実費
相談料はトラブルや裁判への対応について相談するための費用です。着手金は弁護士と契約し事件に着手する際に発生する費用、報酬金は事件が解決した際に弁護士に支払う費用です。
その他、弁護士に遠方への出張が発生した場合に発生する日当や、書類作成・事件調査など弁護士の活動・業務に掛かる実費などを支払います。
弁護士費用は法律事務所によって異なるほか、弁護士が担当する事件の内容によっても変動します。
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訴訟費用の目安は?
訴訟費用のうち、裁判所手数料は訴訟の目的価額に応じて次のように定められています。
訴訟の目的価額 |
裁判所手数料 |
100万円まで |
10万円ごとに1,000円 |
500万円まで |
20万円ごとに1,000円 |
1,000万円まで |
50万円ごとに2,000円 |
1億円まで |
100万円ごとに3,000円 |
50億円まで |
500万円ごとに1万円 |
50億円超 |
1,000万円ごとに1万円 |
引用元|裁判所 手数料
予納郵便代は裁判所によって金額が異なります。東京地方裁判所の場合、当事者(原告と被告)がそれぞれ1名の場合は6,000円、当事者が1名増えるごとに2,000円ずつ追加されます。
ただし、共通の代理人がいる場合は、予納郵便代は加算されません。
引用元|予納金額
証人の旅費は実費精算、日当は8,000円程度が上限です。また、裁判所を通じておこなわれる鑑定は高額になりやすく、数十万円単位の費用が発生します。
謄写費用は調書1枚につき20円から40円程度ですが、調書の枚数が多い場合は出費が増えるため、1万円から2万円程度みておく必要があります。
上記を踏まえると、たとえば200万円を請求する損害賠償請求裁判の場合なら、裁判所手数料として2万円、予納郵便代として6,000円、合計で2万6,000円の訴訟費用が発生します。
弁護士費用の目安は?
先述のとおり、弁護士費用は法律事務所によって異なるほか、事件の内容によっても変動するため、弁護を依頼する事務所に確認する必要があります。
相談料は1時間1万円程度が相場ですが、相談内容に応じて無料で対応する法律事務所があります。
着手金は最低額が10万円程度で、損害賠償を求められた場合は、その金額の8%程度を着手金とする法律事務所が多い傾向にあります。軽微な交通事故では20万円程度、離婚訴訟で30万円程度が相場となります。
また弁護士会の旧報酬規程では請求される賠償額の8%を着手金額に設定しており、現在でもこの金額を参考にしている法律事務所も多くあります。
報酬金も法律事務所または事件内容によって異なります。弁護士会の旧報酬規程を参考に経済的利益(弁護士のおかげで得られた、または減額できた金額)の16%程度の成功報酬制となる場合や、数十万円程度の定額制となる場合があります。
日当は往復2~4時間までを半日とみて2万円~5万円、往復4時間を超えた場合1日とみて5万円~10万円程度が相場の目安です。
ただし、日当の金額や日当が発生する定義は法律事務所ごとに異なるため、依頼前に明確にしておく必要があります。
また実費に関しては、事件内容と必要な仕事・行動によって異なるため、弁護士や法律時事務所に確認する必要があるでしょう。
上記を踏まえて、たとえば200万円を請求する損害賠償請求裁判が合計3日間おこなわれ、判決によりこちらに100万円と訴訟費用の全額支払の命令が下された場合の支払い金額を考えてみましょう。
着手金が200万円の8%で16万円、報酬金が減額できた100万円の8%で16万円、裁判所へ3日間出廷する弁護士の日当が合計6万円、合計で38万円の費用が発生します。
また、別途日当や実費が必要な場合は、弁護士費用に加算されます。
裁判に負けた側が実際に払う金額の目安【一例】
紹介した訴訟費用と弁護士費用を合計すると、裁判に負けた場合に支払う実際の金額の目安がわかります。
- 訴訟費用:2万6,000円
- 弁護士費用:38万円+α
この場合、約40万円の費用を支払う必要があります。ただし、弁護士費用は法律事務所によって異なるため、参考程度と認識してください。
裁判に掛かる費用を抑える方法
裁判を起こす場合や負けた場合には、それなりの金額を工面する必要があり、状況によっては大きな負担になる可能性があります。
そのため、裁判に掛かる費用はできる限り抑えたいと考える方もいるでしょう。
ここでは裁判に掛かる費用を抑える方法をいくつか紹介します。
訴訟救助制度を利用する
訴訟救助制度とは、収入印紙で納付する裁判所手数料の支払いを猶予してもらえる制度です。
これは原告に適用される制度で、裁判が終わるまで裁判手数料の支払いを待ってもらえます。
ただし、明らかに勝ち目がない場合や、原告側に支払い能力があると認められた場合は、この制度を利用することはできません。
民事法律扶助制度を利用する
民事法律扶助制度とは法テラス(日本司法支援センター)が実施している、法テラスが弁護士費用を立て替えてくれる制度です。
依頼者は着手金や実費を支払う必要がなく、弁護士費用自体も相場より安く抑えられます。その後は法テラスに対して返済を行いますが、利息や手数料は掛かりません。
なお、援助を受けるためには条件があり、家族構成ごとの収入や資産が一定額以下であることや、勝訴の見込みがあることなどが求められます。
弁護士を雇わずに少額訴訟を利用する
少額訴訟とは、相手に60万円以下の金銭を請求するときに利用できる裁判手続きです。
一般的な裁判手続きと比較して、簡単に手続きができるほか、1日で判決が出るのが特徴です。少額訴訟は本人でおこなうのが普通なので、弁護士費用を浮かせられます。
弁護士を雇わずに支払い督促をおこなう
支払い督促とは、相手の異議申し立てがない場合に即時に強制執行して取り立てができる裁判手続きです。
請求金額に制限がないほか、簡単な申し立て書を提出するだけで手続きが完了します。弁護士に依頼しなくても、自分一人で利用できるため、弁護士費用を節約することができます。
加入している保険の弁護士費用特約を利用する
弁護士費用特約とは、弁護士費用を保険会社が負担してくれる特約で、加入している保険(生命保険、自動車保険など)に付与できます。
弁護士費用特約を付けていた場合、300万円程度まで弁護士費用が下ります。弁護士費用が300万円以下の場合は自己負担がなく、300万円以上の場合も費用負担を抑えられます。
ただし、加入する保険に関連する裁判以外では利用できない場合があるため、特約の内容を確認する必要があります。
他にも被害者がいるなら集団訴訟をする
集団訴訟とは、同じ被害を受けた被害者が集団となって弁護士に依頼し、訴訟を起こすことをいいます。
弁護士費用を各自が少しずつ負担するため、一人あたりの弁護士費用を抑えられます。
また合計の請求額が大きくなることで報酬金額も高くなるため、弁護士側も動きやすくメリットがあります。
弁護士保険に加入する
弁護士保険とは、弁護士への依頼が必要な場合に保険会社が費用を支払ってくれる専門の保険のことです。
不法行為や賃金請求、離婚訴訟など、さまざまな事件・ケースで利用でき、示談交渉の費用や着手金、報奨金、実費などを保険の上限額まで負担してもらえます。
なお、保険会社から支払われる費用は保険や契約内容によって異なります。
本人訴訟をする
本人訴訟とは、弁護士なしで裁判を起こすことをいいます。本人訴訟では訴訟費用が必要ですが、弁護士費用は掛かりません。
ただし、訴訟手続きに適切に対応するのが難しいほか、相手が弁護士を立ててくると裁判がかなり不利になるなど、デメリットが大きいため本人訴訟はおすすめできません。
裁判に掛かる労力と時間を考えれば、弁護士に依頼した方が安いと考えましょう。
まとめ|裁判に負けた場合は裁判費用の一部を負担する必要がある
裁判に負けた場合は訴訟費用の負担が必要です。
弁護士費用については、基本的には負けた側の負担となりませんが、場合によっては例外的に弁護士費用を負担する必要があります。
また訴訟費用や弁護士費用の内訳を理解したうえで、裁判費用を抑える方法がいくつかあることを把握しておけば、裁判の金銭的なストレスを抑えられるでしょう。
本記事を参考に、裁判費用の負担について理解してから、裁判に臨む準備をしましょう。
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