給料未払いに関する6つの相談先|各窓口の特徴と相談に適した人まとめ

労働者にとって、給料未払いの状態は由々しき事態です。会社に支払日の確認などを行ったうえで、それでも給料が支払われない状態が続いているのであれば、労働問題に詳しい弁護士や行政機関、自治体などに相談すべきです。

この記事では、給料未払いが続く方に最適な相談先と、各相談先の特徴、より有益なアドバイスをもらうために相談時に用意しておくものをお伝えします。

未払い賃金問題には3年の時効がありますし、会社が倒産してしまえば回収も難しくなってしまいますので、早めに相談して今すぐ対処できるよう、参考にしてみてください。

給料未払いが起きる理由

労働基準法第24条では、賃金の支払いについての記述があり、会社の都合で給料を未払いにしたり、支払いを遅らせたりすることはできないようになっています。

(賃金の支払)

第二十四条 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。

 賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金(第八十九条において「臨時の賃金等」という。)については、この限りでない。

引用労働基準法第24条|e-Gov

給料未払いが起きる主な理由として、以下が考えられます。

会社の経営不振によるもの

【例】小規模企業で資金繰りが悪く「支払いを少し待ってくれ」などと言われて給料未払いになっていたり、倒産した会社から給与が支払われていなかったりするケース

罰則やトラブルによるもの

【例】従業員の業績や勤務態度などが悪く(無断欠勤をしていたなど)、その罰則として給与の一部が引かれていたり、退職時などにトラブルになり残っている給料が支払われていなかったりするケース

いずれも会社の都合で給料未払いが生じていますので、労働基準法第24条に違反している可能性が高いです。

然るべき相談先に相談をして対処することで、未払いの給料を支払ってもらえる可能性は十分にあります

未払いの給料を回収するための主な方法

未払いの給料を回収する方法は、以下のとおりです。

〈回収方法〉

  1. まずは未払い給料請求に必要な証拠(明細やタイムカードなど)を集める
  2. 会社と話し合う機会を設ける
  3. 内容証明郵便で請求する
  4. 労働基準監督署に労基違反として申告する
  5. 民事調停などを申し立てる
  6. 簡易裁判所に支払督促を申し立てる
  7. 労働審判や訴訟を提起する

特に、以下のような証拠を集めておくことは重要です。

  • 給与明細書
  • タイムカード(給与計算・労働時間が測定できる資料)
  • 就業規則・退職金規定
  • 会社から配布されている勤怠表
  • その他会社から配布されている給与、勤怠に関する資料
  • 雇用契約書(またはそれに代わる書類)
  • 業務日誌の控え

これらの証拠をもとに請求金額が算出されることになります。給料未払いについて弁護士などに相談する際も必要になりますので、できる限り多く準備しておきましょう。

ただ、すでに退職されている方や会社が倒産している方は、なかなか証拠集めも難しい状況にあるでしょう。

そのような方は、現在「こういった理由で証拠が集められていない」という状況を相談時に説明すれば、証拠集めについて有益なアドバイスをもらえるはずです。

▼「給料未払い」参考記事▼

給料未払いの人が自分で未払い賃金を請求する方法と重要な証拠を解説|労働問題弁護士ナビ

給料未払いの相談先とそれぞれの特徴・相談に適した人

こちらでは、給料未払いに対応してくれる4つの相談先をご紹介します。それぞれの特徴と相談におすすめの人についての説明もしますので、ご自身の状況に一番適している相談先から利用してみてください。

会社|1度目の未払いならまず確認を

本来はあってはならないことですが、「支給日を過ぎている」「額が合わない」などの問題であれば、会社の手違いで給料が支払われていないケースもあり得ます。

いきなり外部に相談するのではなく、まず会社に確認を取ってみることで、間違いが正されることがあるかもしれません。

また、1度目の給料未払いであれば、まずは会社に対して自分で交渉・請求してみることで案外簡単に応じてくれる可能性もあり得ます。

その際のやり取りは請求書やメール、音声データなどの形に残る方法で残しておくようにしましょう。

そうすることで、仮に会社に反対されたとしても「自分で未払い給料を請求したにもかかわらず、会社は応じてくれなかった」という証拠になり、労基署などが迅速な対応をしてくれやすくなります。

弁護士|未払い給料を請求するなら一番スピーディーで的確

相談で解決

できること

  • 請求できる未払い給料をある程度判断してくれる
  • 未払い残業代やパワハラなどの相談もできる
  • 依頼すれば交渉・請求もできる

相談先の

特徴

  • 土日・夜間の相談も対応してくれる事務所あり
  • 無料相談もある(有料の場合30分~1時間5,000円程度)

相談に

おすすめの人

  • 未払い給料を請求したい人
  • すでに会社を辞めている人

相談先

  • 各法律事務所

「一刻も早く未払い金を請求したい」という方は、スピーディーな解決が見込める弁護士への相談が特におすすめです。

相談時には未払いになっている給料の金額をある程度算出してくれますし、相談後は未払い給料の請求や会社との交渉、訴訟になった場合の対応などを依頼できます。他にも未払い残業代などがあれば一緒に請求でき、非常に心強い存在です。

自分で未払い給料を請求しようとしている方でも、どのような方法が適しているかアドバイスをもらえるので、初回無料相談を活用してまずは状況だけでも伝えてみるのが良いでしょう。

労働問題弁護士ナビで労働問題の解決が得意な弁護士を探す

労働基準監督署|違法があれば会社に対して注意・是正が可能

相談で解決

できること

  • 労働基準法違反をしている会社に対する指導・勧告を行ってくれる(※ただし、応じるかどうかは会社次第)
  • 『未払賃金立替払制度』の相談・手続きもできる

相談先の

特徴

  • 証拠が少ないと対応が遅くなりがち
  • 平日日中の相談のみ/電話・訪問による相談が主

相談に

おすすめの人

  • 証拠が揃っている人
  • 会社に残り続けたい人
  • 倒産によって給料未払いが起きている人

相談先

全国労働基準監督署の所在案内|厚生労働省

労働問題と言えば、労働基準監督署を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。

給料未払いの事実があれば、労基署が会社に対して注意・指導を行ってくれるため、未払いになっている給料が支払われることも期待できるでしょう。

会社が倒産して給料未払いになっている場合には、『未払賃金立替払制度※』が利用できる可能性があり、労基署はその受付窓口となっているため制度利用の相談をすることも可能です。

※未払賃金立替払制度…1年以上の事業活動を行っていた会社が法律上または事実上の倒産をした際に、倒産した日の6ヶ月前から2年の間に退職した者であれば、未払い賃金の8割(上限あり)を受け取ることができる制度。

ただし、証拠もなしに漠然と相談しに行っても解決には繋がりにくいです。

▼「労働基準監督署」参考記事▼

労働基準監督署を活用し給料未払いの相談・申告する際の基礎知識

未払賃金立替制度を利用して未払い賃金を回収する方法・申請時の注意点

労働条件相談ほっとライン|相談がメインで、どうすれば良いのかわからない人向け

相談で解決

できること

  • ちょっとした悩みごとの相談ができる
  • 次なる相談先の案内をしてもらえる

相談先の

特徴

  • 夜間や土日の相談ができる
  • 無料で何度も相談できる

相談に

おすすめの人

  • 何をどうすれば良いのかわからなくて話だけでも聞いてほしい人

相談先

公式サイト:https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/lp/hotline/

電話:0120-811-610

何をどうすれば良いのかわからない・特に給料未払いの証拠も集まっていないといった状態の方であれば、厚生労働省が委託している『労働条件相談ほっとライン』への相談を検討しましょう。

ただし、あくまでも相談がメインなので、相談したから次に何かをしてくれるわけではなく、次なる相談先を案内してくれる程度です。

「未払い分のお金を請求したい」「証拠は揃っている」「公的に請求手続きを取りたい」などの、具体的な準備が出来ている方にとってみれば、遠回りになるかもしれません。

法テラス|条件次第で弁護士費用の立替えも可能

相談で解決

できること

  • 弁護士費用の立替えを行ってもらえる(立替えの条件あり)
  • 相談先を提案してもらえる

相談先の

特徴

  • 無料相談あり(30分限定)
  • 平日+土曜日の日中(電話)/24時間対応(メール)

相談に

おすすめの人

  • 弁護士依頼は前向きだが費用を心配している人
  • 解雇されて収入が途絶える人

相談先

公式サイト:https://www.houterasu.or.jp/

電話:0570-078374(平日9~21時/土曜9~17時)

法テラスは、日本司法支援センターが運営する法律全般に関わる相談先です。自分で弁護士を選ぶことはできませんが、条件を満たせば無料で弁護士と相談することができます

また、収入と資産が少なくてどうしても弁護士費用が支払えない状態にある方には立て替え制度もあるのでおすすめです。

もっとも、この立て替え制度を利用する条件を満たさない方は結局、他の相談先を提案されることになるので、問題解決までは遠回りになる可能性があります。

給料未払いに関するよくある相談内容

こちらでは、インターネット上で散見された給料未払いに関する相談と、それに対する回答をいくつかご紹介します。

決まった日に給料が支払われない

相談内容

給料が決まった日に支払われません。

引用よくある相談事例(賃金)|神奈川県ホームページ

労働相談課の回答

給料は毎月1回以上、決まった日に支払われなくてはいけません。労働条件を通知した書面や契約書に書いてある毎月決まった日に支払ってもらうよう会社に話しましょう。

引用よくある相談事例(賃金)|神奈川県ホームページ

小規模な会社であれば、管理体制が整っておらず、給料日を過ぎて給料が支払われるような事態もあります。いきなり外部に相談するのではなく、まずは会社に確認を取ったほうが無難でしょう。

何度会社に相談しても支払い遅れが発生したり、経営難などからいよいよ給料の支払いが滞る事態が出てきたりした場合であれば、外部の機関にも相談したほうが良いでしょう。

給料から弁償分が差し引かれている

相談内容

仕事中に、不注意で食器を割ってしまい、その費用を給料から差し引かれました。

引用よくある相談事例(賃金)|神奈川県ホームページ

労働相談課の回答

仕事のミスによって会社に損害を与えた場合でも、食器を割るなど、会社として当然予想できる程度のミスであれば、原則として弁償はしなくてよいと考えられます。仮に弁償しなくてはならない場合でも、給料は全額支払うことが原則ですので、給料から勝手に差し引くことはできません。

引用よくある相談事例(賃金)|神奈川県ホームページ

何かの理由によって一部の給与がカットされていたり、本来発生している手当が支払われていなかったりした場合も、給料未払いに該当し得ます。中でもよくあるものが、残業代未払いでしょう。

1ヶ月単位だと数千~数万円の金額かもしれませんが、積み重なれば数十万円の賃金が未払いになっていることも少なくありません。

未払い賃金請求の時効は3年となっていますので、お早めに相談して対応を考えるようにしましょう。

給料未払いを理由とした出勤拒否は可能か

相談内容

今月末に退職予定ですが、今月分の給与が給与日になっても振込まれていません。

担当者に確認しても社長がやっているのでわからないと言われました。退職日まで給与未払いを理由に出勤拒否しても問題無いでしょうか?

引用給与未払いについて|弁護士ドットコム

弁護士の回答

問題と思います。職場放棄等を理由として使用者が賠償請求をしてくる可能性もあります。そして未払賃金の支払を拒む材料として何らかの言い分をしてくる可能性もあります。

引用給与未払いについて|弁護士ドットコム

「給料が払われないんだったら、職場に行かなくてもよい(行きたくない)。」そのように思う方も少なくないでしょう。

しかし、ご自身の判断だけで会社に対抗することで、余計に問題をこじらせてしまうこともありますし、自分に落ち度を作るリスクも出てきます。

独断で会社に対抗するのではなく、必ず専門家に相談した上で適切な方法を取っていくようにしましょう。

未払い賃金請求の弁護士費用に不安がある

相談内容

賃金未払いについての相談です。

再三会社側の人間に電話やメールにて支払いを求めて何回かは支払われましたが、残金が少額になってから半年程支払いが滞り、2年の時効まで半年しかありません。しかし残金が少額の為、弁護士さんに相談しようにも費用の方が高くつく場合は諦めるしかないのでしょうか?

引用賃金未払いについて|弁護士ドットコム

 

弁護士の回答

労基署から注意してもらうのであれば費用はかかりません。

労働審判は多少費用はかかりますが、自分でもできると思います。

引用賃金未払いについて|弁護士ドットコム

※上記の『時効2年』は投稿時の法令によるものですが、現在、未払い賃金請求権の時効は3年に延長されています(参考:未払い賃金の請求期間、当面3年に延長 改正労基法成立|朝日新聞)。

通常、未払い賃金請求の弁護士費用は、『着手金+獲得金額の〇%』で設定されていることが多いのですが、請求できる金額が少ないと着手金分によって、弁護士費用の方が高くなってしまう心配もあります。

上記の回答のように、他にも費用がかからない解決方法もありますし、着手金無料の法律事務所もあります

弁護士に相談すれば、上記のように状況に応じた解決方法を提案してくれることが期待できますので、費用面の不安も含めて相談してみてはいかがでしょうか。

未払いの会社が倒産した/すでに退職している

相談内容

私が勤務していたコンビニが買収されたことで、閉店になりました。

賃金未払いを労働基準監督署に申告したが、そのコンビニは直営でなく、フランチャイズであるため、コンビニのオーナー情報が必要である。

ところが、私は店長の名前と電話番号しか知りませんでした。店長に連絡しても返事が来ないため、会社本部に連絡することになりました。

会社本部はその店は直営ではなく、フランチャイズであるという理由で、オーナーの個人情報を照会することができませんと返事していました。

ここで、幾つかの質問を聞きたいです。

まず、こういう状況の下で、会社本部は関係者の個人情報を照会する義務がありませんか?

また、たとえ会社本部はその義務がなければ、オーナーさんの個人情報(名前、住所または連絡先)はどうやって調べられますか?

引用賃金未払いについてです!|弁護士ドットコム

弁護士の回答

会社本部は関係者の個人情報を照会する義務がありませんか?
個人情報保護法が出来て、従来では開示すべき事柄が、非開示となっています。会社本部は、オーナーから訴えられないように、用心していると思います。相手方が、個人情報で開示しないという以上困難でしょう。

また、たとえ会社本部はその義務がなければ、オーナーさんの個人情報(名前、住所または連絡先)はどうやって調べられますか?
弁護士照会を利用すれば、開示されることになります。
コンビニの場合、各種の届け出をしているとおもいますので、酒販、たばこ、食品販売の関係で保健所など、この点から、調査すると教えてくれるかも知れません。

雇用契約書に、オーナーの住所は書かれていないのですか。もし雇用契約書が内のであれば、そのような指導を本部がしているのか、本部の責任だと言って、開示してもらったらどうでしょうか。

【引用】賃金未払いについてです!|弁護士ドットコム

会社が倒産したことがきっかけで給料未払いになることもありますし、すでに退職していてタイムカード等の証拠を用意できないケースもあるでしょう。

弁護士が行う弁護士会照会を利用すれば、個人だけではなかなか集められないような情報や証拠を入手することができるかもしれません。

「もう会社がなくて証拠もなにもない」という事態でも、弁護士に相談すれば、心強い回答が返ってくるかもしれません。

将来発生するかもしれない給料未払いトラブル。備えは万全?

弁護士費用保険メルシーは弁護士が必要になった際の費用(着手金・報酬金)の一部を補償する保険です。

保険という性質上、加入前に発生してしまっているものは補償対象外になってしまいますが、弁護士費用は大きな負担になりますので、費用が捻出できず泣き寝入りとなることもあるでしょう。

給料未払いだけでなく、離婚や近隣トラブルなど様々なトラブルで使えるものになりますので、将来発生するかもしれない法的リスクに備えたいという方は、弁護士費用保険メルシーへの加入を検討してみてください。

無料で資料をダウンロードする

今すぐネットで加入する

まとめ

給料未払いは労働者にとってとても大きな問題です。一人で悩まず、専門家などに積極的に相談してください。

〈主な相談先をおさらい〉

  • 弁護士
  • 労働基準監督署
  • 労働条件相談ほっとライン
  • 法テラス

本記事でお伝えしたように、退職の有無や証拠の有無、悩みの大きさ、次に取りたい行動などによって一番適している相談先を選んでください。

なお、未払い給料を証明できる証拠があると、相談先もより真剣に迅速に対応してくれやすくなります

〈未払い給与の証拠をおさらい〉

  • 給与明細書
  • タイムカード(給与計算・労働時間が測定できる資料)
  • 就業規則・退職金規定
  • 会社から配布されている勤怠表
  • その他会社から配布されている給与、勤怠に関する資料
  • 雇用契約書(またはそれに代わる書類)
  • 業務日誌の控え

可能であれば、相談前に上記のような証拠をそろえたうえで相談すると良いでしょう。

弁護士費用保険メルシーの資料請求・加入申込をする

友だち追加